その心意気、意外にWin-Win

面白いなと思う日本のニュースがあったので。ちなみにスポーツ関連じゃないよ!!!

岩波書店、採用で「著者か社員の紹介必要」
読売新聞 2月2日(木)21時17分配信岩波書店が2013年度の定期採用をめぐり、応募資格の条件として、「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」とホームページで告知していることが分かった。
事実上の縁故採用とも取られかねない告知方法で、厚生労働省就労支援室は「あまり聞いたことはない。採用の自由はあるが、厚労省としては基本的に広く門戸を開き、応募者の適性、能力に応じた採用選考をお願いしている」と話している。
同社では13年度、若干名の採用を予定している。

今、出版業界の就職倍率がどうなっているのかわからないけれど、十数年前私が就職活動をしていた学生時代を思い出した時に、「最初からそうならそうと言ってよ!!!」と何度となく思ったのは事実(業種は敢えて伏せる。でも、マスコミ系だけではないよ)。だって、並行して別日程・別地域で採用活動をしてないはずなのに、最終間近の健康診断になった時に突然、今まで見たこともなかった顔が大量に現れて、しかも最終的に内定が出たのは「“健康診断参加組”全員+それまで一緒にステージを踏んでた人ごくわずか、もしくはゼロ」だった会社があったもん。しかも1社や2社じゃなく、複数社。 書類選考やら筆記やら面接やらグループディスカッションやらを散々やるうちに受験者同士で情報交換するようになって、「ここまで来たら内定しろよ!」と落ちた子にも言ってもらったりしてただけに、その結末はちょっと言いづらいものがあるね…とそこまで残っていた者同士しゃべっていたのを今でも覚えている。それでも1社目は私も純粋だったから、「もしかして書類選考とかですごく評価されてた人なんじゃない」なんて言っていたけど、そういうケースを何社か経てしまうと、少なくともリクルーターの青田買いかもしくは縁故なんだろうなあと思わざるを得なかったわけなんですが。


なので、今回、岩波書店がハッキリそう記載したのも悪くはないと思うんですよね。正直、そんな感じで落ちた会社が第一志望じゃなかったりすると、「●社の受験にかけた時間があれば他の会社も受けたかった」という事にもなるわけだし。就職難になってくると、志望順位もへったくれもなく内定が取りたくなって、そうなるとちょっとでもステージが進んでいるところの優先順位がどうしても上がってしまうんだけどそれが大きな落とし穴…みたいな。今回みたいに断言しておけば、就活する学生も採用側も、ムダな時間を費やす必要はないわけです。「A社も岩波書店も同じくらい入りたいけど、でも岩波書店の3次がA社の1次と同じ日だなあ…」なんていうコネなしの学生がいたとして、そうするときっと今までなら岩波の3次を受けて結局スベったりしていたはずだけれど、そういう悲劇は防げる(ちなみに私は、興味はあれどもコネはなく、“若干名”の採用を予定していた都内の広告代理店の4次と、ある程度採用人数の多そうな出身県の製造業の2次がバッティングして、ちょっと悩んだ挙句、明らかに手応えがあった製造業を取って、最終的に入社した。その選択が正しかったのかどうかは今でもわからない)。


厚労省的には、せめて「原則必要」くらいにして欲しいと思うのもまあ、わかるんですけどね。でも、こうして考えてみると、もしかしたら岩波書店側は「コネがないならないで、会社の前で社員を待ち伏せして紹介状を書かせるとか作家にファンレターで依頼するくらいの根性が欲しい」と思っているのかもしれない。別に門戸を狭くしているわけじゃなくて、逆に広くしているのかもしれないよ。ある意味風変わりな一次試験。