ブックストアの憂鬱

本屋って好きなんです。子どものころは本当に本好きだったし。でも最近、圧倒的にamazon楽天ブックスで買うことが多い。残業オーエルだった頃は、単純に時間がなかったのと、あと定時で上がって飲みに行ったついでに買おうものなら酔っぱらって忘れてしまうような気がしていたのとで、いきおい本屋で立ち読みだけして買うのはネットショップて配達してもらっていたんだけど、今はそのしばりもないし、だからできれば(せめて日本では)本屋で確認して買いたい気分。


それというのも、私が行っていた本屋がことごとく潰れているから。実家から一番近くにあった小さい本屋はとっくの昔になくなってしまったし、二番目に近かった本屋も、一回オーナーが替わって生きながらえたものの結局また潰れてしまった。それらのべ三軒ともご夫婦で経営していたけど、みんな、今はどうしているんだろう? 彼らの顔を思い出すと未だに切なくなってしまう。もう10年以上前なのに。


ギリギリ徒歩圏にある本屋は大手チェーンとビレッジヴァンガードで、それでもないよりはあった方がいいかな、と思うので、できるだけその大手チェーンの本屋で買えるものは買いたいと思っている今日この頃。…というわけで、少し前にそこの本屋で立ち読みして、やっぱり欲しいなあと思っていた本を買いに出かけたんですが。


品切れだったんですよねー。そりゃ、一冊しかなかったし、その数日間で誰か他の人がその本を買うという可能性はゼロではないから、電話で確認しなかった私が悪いんだけど。でもそうした事態に直面した時、その場で注文をお願いせずに、思わず家に帰ってPCを開けてしまった。っていうか、いつでもどんな本屋でも買えるふつうの雑誌レベルなら、コンビニにもあるのが、悲しいけれど実際のところだと思う。最近ネットとコンビニ両方で在庫切れになっててリアル本屋の店頭で初めて買えた本なんてサッカー雑誌の松田直樹の追悼号と追悼増刊号くらいなもので、でもそれってものすごくニッチな例だよね? なんだかこういうのって、現代日本のリアル世界における本の流通システムと、大手チェーンでもターミナル駅にあるようなフラッグシップ的なところではない、“ふつうの街の本屋”の限界なのかなあ。そうなんだろうなあ。ネット上で数ページだけ見せてもらってとりあえず買った本と、ガッチリ立ち読みしてその上で買いたくなった本って、その後の思い入れも全然違うんだけどな…。


でも、そう言えば、ジュリア・ロバーツの堅実ヒット作にしてヒュー様の出世作ノッティングヒルの恋人』のロケ地になったロンドンの小ぢんまりしたかわいい書店も、閉店の危機って少し前に読んだのを思い出した。本を買うときに、店頭の人の顔はもちろん、本の顔すら見られなくなるのは、全世界的な傾向なのかしら。

映画『ノッティングヒルの恋人』のモデルとなった書店、閉店の危機


 [シネマトゥデイ映画ニュース2011年8月26日 15時40分] 1999年のヒット映画『ノッティングヒルの恋人』で、ヒュー・グラント演じる主人公とジュリア・ロバーツ演じるヒロインが出会う書店のモデルとなった店が、閉店の危機にひんしている。


 映画の中に登場するのは、ロンドン西部のノッティング・ヒル地区にある「ザ・トラベル・ブックショップ」。映画では、ヒュー演じるパッとしない店主ウィリアムと、そこに立ち寄った、ジュリア演じるハリウッドの大スター、アナの恋を描き大ヒットとなった。映画の公開後、この書店は一躍、観光スポットとして人気を呼び、ファンや観光客が多く立ち寄っていたが、昨今の経済情勢は個人経営の小さな書店にも暗い影を落とすことに。オーナーは新しい買い手を捜しているが、なかなか見つからず、あと数週間で見つからなければ閉店することに。現在は、在庫を半額でセールしている状態だという。


こうした事態を受け、イギリスでは詩人や作家たちが、書店の存続を求めて運動を起こした。新しいオーナーが決まるまで、ボランティアで店の経営を1日ずつ受け持つという。ボランティアを申し出た詩人でジャーナリストのオリビア・コールさんは、「この書店は本当に素晴らしい専門書店です。でも、今こうした個人経営の書店はどこも苦しい経営をしています。この運動で、新しいオーナーが見つかる助けになれば」と語っている。こうしたアーティストたちの熱意には、映画の中でジュリアの恋人役を演じていたアレック・ボールドウィンも賛同し、ツイッターで「ザ・トラベル・ブックショップを救おう」とツイートしている。