侍ジャパンとロケット

いやー最高でしたね侍ジャパン。「サッカー派で野球は中日ドラゴンズしか見ない」という私もニワカに熱中して感動しちゃった。まさか1点を追うメキシコ戦9回裏、投げやりに「こりゃ大谷翔平がソロホームラン打って、吉田正尚が塁に出て、でもってついに目覚めそうな村神様がホームランで劇的サヨナラコースだな!」と呟きながら部屋の床の雑巾がけをしていたら、あれよあれよとそれに近い出来事が起きるとは。スポーツは最後の最後までわからない、と常々思ってるし言ってるけどいやー、驚いちゃった。

2023年の侍ジャパンに何で私がそこまで感動したかというと、「実現可能な最高のメンバーで、きちんと準備して立ち向かっていけばちゃんと成功できるんだ」ということだと個人的には思っています。私はもう、色々なことに絶望しすぎたし希望を持てなさすぎる人間になってしまいました。H3ロケットが再打ち上げするも今までのH2ロケットとほぼ同じ形でやってきた2段目のロケットに火がつかなくて観測衛星のだいち3号もろとも破壊指令で海と空の藻屑と消えて「何が悪かったのかわかりません」と涙目のプロジェクトリーダーのおじさんの姿なんて最近もっとも絶望したことで、今でも胸が苦しくなります。日本も、日本人も、できるはずのことはもちろん、これまで簡単にできたことすらできなくなってしまっていて、しかもその原因がわからない。日本という国は進歩できないどころではなく、退化していて、しかも恐らくもう再び進化する望みすらできない、というその事実に。

そんな中で2023年の侍ジャパンは「大丈夫だ」とほんの少しの希望を蘇らせてくれたと思うのです。最高の準備をすれば必ず報われる。ヌートバーみたいに国籍はアメリカを選んで日本語も全然喋れないのに(あるいは代表選手になるための方便なのかもしれないけれど)サムライジャパンで出たかった、という人もいる。

絶望しかない日々に、一瞬の夢を「この世界上で起きている事実」として見せてくれた。ありがとう、本当にありがとう。ついでにロケットについては「所詮あんな予算で飛ばす方が無茶だし、だいち3号はだいち3号で別途堅実なやり方で飛ばせばいいじゃん」と思っています。希望を捨ててはいけないし、大谷がチャーター機ばっかり使ってるみたいにお金をかけるところはかけておけばいいじゃないか。