さよならワールドカップ

終わりました、4年に1度の夢の祭典・ワールドカップ。今や遠い日となった2002年、私は「ワールドカップを生観戦する」と浮かれているリア充達をものすごく羨ましがっていました。何しろカネがある、コネがある、そして一緒に観に行く大切な人がいる。日本代表も開催国・ブラジル代表もいろいろと苦い思い出ばかりの今大会ですが、私個人は夢がかなったので満足です。カネは絞り出した、コネはないけどチケ取りのノウハウは持ってる、そして結婚してみた男は実はけっこうなサカオタだった(ついでに義理の父も)…など。本当はね、2006年あたりにはその辺の夢は叶えちゃって、「新婚旅行はドイツ・ロマンチック街道とワールドカップ観戦だな!!!」とかまじめに夢見ていたんですけど、なんかそこから8年もかかっちゃったんですけど、しかもなぜかロマンチック街道(でも実は2006年の春に行くだけ行きました、親と)とは程遠い、日本のマスコミに「北斗の拳みたいな世界」とか書かれちゃう治安最悪なブラジルだけど、でもいいの。叶うことが大事。人生は長いのだ。


オトコの影響で趣味が変わるとかってあまり私の美意識に合わないのですが、オットが大好きなアルゼンチン代表が準優勝に終わってちょっと悔しいと言えば悔しいのです。今回わたしは専業主婦の身の上をいい事にほとんどすべてのアルゼンチン代表の試合を、むしろオット以上にしっかり観ていたたのですが、最後にはアルゼンチン代表メンバーの事が、かつてのカンナバーロ率いるアズーリ以上に大好きになっていました。特にメッシやイグアインら攻撃陣の影に隠れたボランチ以下守備陣、マスチェラーノ、ビリア、ロホ、ガライ、サバレタデミチェリス。もうみんな大好きだ!私スペイン語書けないけどホント、ファンレター出したい! 実はドイツ代表のフンメルスの事を香川のドルトムント移籍以降ずっと推してきた私だけど、あとブラジルの誇る熱いダメ男のダヴィド・ルイスもちょっと松田直樹っぽくて大好きだけど、あのアルゼンチンの6人の守備の堅さ、集中力には本当に感動させてもらった。最後の最後まで、「もういいよ、準優勝でもいいよ、胸を張って帰ろう」と思わずテレビに向かって言いたくなるくらいいいプレイを見せてくれた。決勝がこれだけ最後までいい試合になったワールドカップを私は知りません。だって、もっと早く決着ついちゃったり、最後にいちばんそういう事があってはいけない人が信じられない行為をして退場したり、いきなり疲れ果てててグダグダだったりそんなんばっかりじゃないですか。その点今回、アルゼンチンを応援していたからちょっと切なくなっただけで、後味そのものは悪くはありません。日本のサッカーライターさんとか、「戦術メッシの限界」とか書く人は書いていればいいよ、私は私であの守備陣を忘れない。あいつらがあれだけ団結して身を捧げる気になってくれただけでメッシは大事なお姫様なんだよ、わかった?


かわいそうなのはブラジルです。何ですかあの準決勝。気が多くて申し訳ないのですが、本当の本当は、私は開催国にぶっちぎりで優勝してほしかったのです。だからあの6分間、悪い夢を見ているようでした。っていうかリプレイ見ている間に次のゴール決まってたしね。今にして思えば、日本の「2分間で2点」なんてまだ甘かった。頻度で行けば「6分間で4点」よりひどい話なんだけど、やっぱり同じ光景が倍繰り返されるのは観ていてトラウマになる。私の中であの6分間の特に最後の4点目・5点目の信じられなさ具合は、「9.11 世界貿易センタービル南棟に激突するUA175便」に匹敵する悪夢の生中継です。たかがサッカー、人の命の重さを冒涜するなと言われそうですが、「こんな事がこんな頻度であるはずがない」という衝撃と絶望感、明日からはいきなり街中をならず者がウロウロする地獄絵図になるんじゃないかという不安において、それは同義でした。


そして、本当に、気が多くて申し訳ないのですがおめでとうドイツ。統一ドイツとしては初の優勝、ドイツの誇る代表サポ・メルケル首相も在任中に優勝できてよかったね、そして4年前、ベスト8あたりの試合でアルゼンチンがボコボコにされてひとりで阿鼻叫喚しているオットを尻目に「エジルミュラー…この子たちが怪我なく順調に伸びれば、4年後はドイツで決まりだな!」と思っていた予感がその通りになって、私はそれはそれで本当に嬉しいのです。
だって、期待されていていつしか忘れ去られた選手がどれだけいる事か。そういう意味で、今回のドイツ代表の活躍は、何だか奇跡のように思えるのです。


え、日本? 私、日本に住んでないからリアルタイムの世論とかわかんないからわかんないー。アギーレ・ジャパンって言葉ばかりニュースサイトで見かけるけど、もう正式に決まったの?どうなの? それよりも、今大会の振り返りをもう少しちゃんとした方がいいと思うんだけどな…