実録・ワリカンのセオリー〜分相応と不相応〜

今月後半の我が人生初!!!の結婚式ラッシュに向け美容プロジェクト絶賛推進中な今日この頃です。(このトシでようやくラッシュってどんだけ交友関係狭いんだって話ですがそれはさておき)
久々にデジパーをかけたり初のバイオジェルにチャレンジしようとしたりしているのですが、残念ながら今日はそのネタではありません。

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【最初に注:本文に出てくるA氏・B氏・C氏・Z氏は、同じ会社、もしくは同等以上の年収を得る事のできる関連会社だと仮定します。つまり、年収カーブも含めてほぼ同条件って事ね】


≪ケース1≫
「たったの、たったの7,820円ですよ。それをもう、10円単位までワリカンにされたんです。だからもう私、『無理だ』とか思っちゃって! だからお金払うだけ払ってさっさと帰っちゃったんですけど…」
諸般の事情で今年からお世話になっている美容師・エムさん(仮名・26)は、私にとって高校時代まで遡っても初の女性担当美容師である。このため、髪を切ってもらっている間中バカな女子トークに終始する事が多い。一通りの社交辞令を済ませた後、2ヶ月ちょっと前に髪を切ってもらった時には「先週合コンで知り合ってデートに誘われた。もしかしたら運命の出会いかも知れない!」と散々ときめいていたはずの男とデートの感想は、残念ながらコレだった。ちなみに『10円単位』という細かさがダメだったのかと思いきや、どうやら「1,000円だけくれればいいよ」「2でいいよ」という展開くらいしか想定していなかったらしい。
相手の男・A氏はエムさんと同じく26才、大学院卒・研究開発職。対するエムさんは、東京・青山で修行していた頃アウディTT(後にポルシェ・ボクスターに買替)に乗る35才視聴率のいい民放キー局員と恵比寿の高級マンションで同棲していたという経験を持つ美人美容師。…まあ、客観的にジャッジすれば、エムさんが「同世代の男の子と中学・高校時代みたいなさわやかな交際をしたいなあ」もしくは「堅実な結婚をしたい。それには少々不器用でも手堅い男をしっかりつかまえておかなければ」(A氏の勤務先はこの付近のメーカーの多くがそうである通り終身雇用を売りにしている)とでも思わない限り、無理な話だろう。
同業者の私から見て『院卒技術系26才』といえば入社まだ2〜3年目、仕事も比較的忙しいし、給料がどう、と言うよりは女の子の扱い自体に慣れていない男子もそれなりに多い。私の同期たちも、かつては皆そんな感じだった。そして、恐らくは『そんな感じ』のまま、大半が入社3年以内には結婚していった。乗っているクルマは諸費用込みで130万円以内の中古車か、さもなくば150万円以内の新車で、カローラフィルダーRAV4など新車で買おうものなら随分奮発したものだと同期一同呆れたものだ。
「ま、まあ、無理しなくてもいいんじゃないかなあ。そこで無理矢理ニッコリ笑って合わせてみて、仮につきあう事になっても、今のエムさんだとストレス溜めちゃいそうだし…。それに、そういう子には『全然問題ない』『むしろ女慣れしてない感じでそこがいい』って女の子がしっかり寄って来るものなのよね…勤務先も勤務先だし、堅さがウリの技術系だし。合計7,800円なら、5000-3000くらいで上出来、男が4,000円出して残額は女の子が払うって感じでも良しとしてあげなきゃ」
だったらやっぱり私そういう気の回らない人って辛いから別にいいです、とスッパリ言う男気あふれるエムさんであった。それはそれで、冷静な判断だと言えるだろう。美容師離れしたオーラを持つ彼女には、ぜひ吝嗇な自動車業界人などではなく、ゴージャスな男性とのロマンスを期待したいところである。



≪ケース2≫
昔の職場の上司、B氏(46才・大卒・営業企画系)が転勤先の東京から名古屋に戻ってきたので、旧いメンバーで飲む話が持ち上がっている。当時の同僚兼ときどき部下だったKちゃんと久々に会った時にその話になり、ついでにB氏の思い出話になったのだが、そのネタはもっぱら「いやあ、Bさんってケチでしたよねえ」に終始した。
B氏は30代中盤をうっかり『社内初の北米地区独身駐在員』として過ごした独身貴族である。自動車メーカー勤務のくせに(いや、だからこそなのか)自社のクルマは持たず、7年落ちのマセラッティ(入院しっぱなし)と新車のアウディA4(3.2リッター)を2台持ちしていた彼は、しかしケチだった。
管理職、しかもグループ長という本来太っ腹さを見せるべき役職につきながら、宴会の会費表に「高いなあ」と堂々とケチをつけるのは勿論、私たちに乗っては先輩にあたる女子社員に密かな恋心を抱きつつついにデートに誘った際も、「いやああの人、会計で後からしっかり私にお金請求してくるんですよ。確かに完全なワリカンってわけではなかったですけど。」という顛末を女子サイドから暴露されていた。
「まだ独身なんですかねえ…ってまあ、あれじゃあ結婚できるわけないんですけど」「何も聞かないってことはそうなんじゃない?まあ、当然と言えば当然なんだけど」と言い合う私とKちゃんであった。でも、万一何らかのきっかけがあっていきなり大盤振る舞いになったBさんなんてのも、らしくないから見たくないなあ。



≪ケース3≫
結婚願望が高まる友人・C氏(30才・大卒・生産管理系)は、既に4年前に結婚し子供ももうけている中学時代からの男友達から、あるダメ出しを数年に渡り食らい続けているのだと言う。その内容は、「お前が結婚できないのは、女に金を出させようとしなさ過ぎるからだ。女はそれを見て、『金銭感覚がない』『だらしがない』、つまり結婚には向かないと判断する。結婚したければ、もっとワリカンで行く事だな」というもの。
「っていうか私との会社の愚痴をこぼし合う飲みでゼンゴチする必要は、確かにないと思う」「いや、moeさんだってイチオー、見た目的にはバッチリ女の子じゃん、だって。あとZだって奢ってるだろ? あいつに比べるまでもなく俺は余裕あるし。車だって3リッターとは言え所詮国産のレガシィだからなあ」 C氏の友人Z氏(29才・大卒・生産管理系)は買ってしまったBMW・5シリーズワゴンのローン(合計返済額400万円以上)に苦しむ文字通りの金欠野郎なのだが、確かに私が会議でZ氏の職場へ行く度に、なぜかジュースなど奢ってくれるのは事実だ。「…でも、俺もZも結婚できない彼女もいないってのは間違いなく事実なんだよなあ」と矛盾に苦しむC氏だった。


…さて、ここで私はある矛盾に気付くとともに、ある結論に辿り着いた。
ケース1・3のA氏・C氏は、むしろ適度なワリカンこそがイコール堅実性アピール→『結婚向き』という結論に落ち着いている。しかし、B氏のケース2は完全なもの笑いの種→『結婚できない男』だ。その差はどこにあるのか。言うまでもなく、『年齢=収入』である。
Z氏も含めた彼ら全員の共通点は、「終身雇用・ある時点までの護送船団方式の昇格&昇給が保障されている会社に勤務している」事。すなわち26才のA氏は間違いなくそれなりの収入しかないし、私が部下だった数年前の時点で既に40才を越えていたB氏は逆に間違いなく相当の収入を得ているのだ。将来の長い若者は今少々ビンボーでケチだとしても良しとし、逆に定年までの時間の方がむしろ短くなりつつある管理職にはそれ相応の器の大きさアピールをするべきだ…と本能的に女子は察知していると思われる。って事は…


「うーん、でも、C君も30になったしさ、だからいきなり必要以上にケチる必要はないんじゃないかなあ。30で昇格も順調だし生管部門としては不釣合いなくらい結構いいスーツ着てるし、それでケチってたら『自分にしか金使わないケチ男』だと思われるよ。まあ、私に奢るのはナンセンスだし、デートなら食後カフェ代くらいを出してもらうのが妥当なんじゃない?」
そう、そうなのだ。『分相応・不相応』って、恐らく女子の『私を守ってくれるナイトを探そう本能』とでも言うべきものがものすごく冷静にジャッジしてるんじゃないだろうか。だからこそ、ケチな管理職はもの笑いの種になるし、金払いの良すぎる平社員には不信感をおぼえる…そう考えれば納得が行くと言うものだ。特に年齢⇔年収カーブが比較的正比例している会社に勤める独身男性諸君には、是非、『分相応・不相応』という言葉を胸に女子と向き合って欲しいものである。
…あ、そうだ。あとこの文章をざっと読み返して気付いたんだけど、いくらクルマが好きだと言っても、それはそれで『分相応・不相応』を考えた方がいいと思うよ(7年落ちの入院マセラッティにかかる維持費は想像を絶するものらしいので)。