『ヘルタースケルター』DVDが届いた

「公開時期に日本に帰りたかった…!」と嘆いていたあのエリカ様映画『ヘルタースケルター』を、とうとう、とうとう観ました!
オット、勝手に君のカードでamazonポチ買いしてしてしまって申し訳ない。でも安くなってたんだよね。


さてさて感想。岡崎京子の虚無的なまんがと蜷川実花の極彩色の写真と沢尻エリカの変幻自在な容姿と憑依系の芝居、それらがぐちゃぐちゃに混じり合ったら…という、むしろそれそのものが“Helter Skelter”な映画だった。ルーズソックスの女子高生とかところどころ古臭いモチーフが出てきたり、なんだか昔の庵野秀明が好きそうな演出があったり、そういう違和感はあるんだけど(あ、プリクラは別。近年のアレは何だかビューティコロシアム級に修正できるので、作品のテーマに合っていると思う)、まあ、私はこういう「雰囲気バッチリ」な映画は嫌いではありません。蜷川実花の写真、私は好きだし。
寺島しのぶ桃井かおり原田美枝子、大森南郎に新井浩文、問題のエリカ様エロシーンの相手はなんと懐かしい窪塚洋介哀川翔とか、何だかやたらと面白い役者がぞくぞくと出てきて、それぞれイイ雰囲気なのもいい。(っていうかきっと蜷川実花は、演技指導とかは一切なく、とにかく上手くて個性的な人を揃えて彼らの裁量に任せてしまったんだと思う。彼女の背景を知らずに彼女の写真が気になった私としては残念な「お嬢さん芸」的手法だけれど、それは、きっとある意味ひとつの正解なんだろう)


でも申し訳ない。私はやっぱりこの映画、15年くらい前、もしくはせめて、ラスト近くで唐突に流れる浜崎あゆみ“evolution”がリリースされた時期(それでも11年前か)、まだいろんな神経がすり減っていなかった頃に観たかった。その頃に観ていればきっともっとマンセーだったし、もっといろんなことを考えたと思うし、もっともっと好きな映画だったと思う。(もしかしたら単に、ニナミカの画そのものがちょっと、同時代性を喪いつつあるせいなのかもしれないけれど、私の感性の劣化に拠る部分の方が大きい気がする。)
やっぱり最初に勝手に思ってた通り、シネスイッチとかシネセゾン(こちらはもうないけど)で観たかった映画だったなあ。まあ、配給20億だったらしいけど。っていうかこの映画のファンブックに小学校時代に読んで愛してやまなかった『オシャレ泥棒』の作者・中森明夫が寄稿してたりするんだなあ。本当はわかってるんだよなあ出す側も。


さてそれ以後またパッタリ噂を聞かないエリカ様に関しては、あの「別に」騒動の時以来の“エリカ様”に当て書きしたような雰囲気なので、あまりサプライズはなかった。錯乱シーンはうまい、手術を前にした無垢な眼つきもうまい、うまいんだけど“沢尻エリカ”ならこれくらい簡単にできるのは誰だって知っている。でも、個人的には今年の春にTVでやった『悪女について』も観てみたいし、次作が出てくればまた観ると思う。色々ある人だけれど、これだけ憑依できる(しかもすごく可愛いのに「どうにでもなる」容姿の)女優は、まだこの世代で出てきていないと思っているので。


…あ、ちなみにエロは最初の20分くらいです。今更そんな人は少ないと思うけれど、エロ目当ての人はその覚悟を。逆にエロ嫌いの人は逆にその部分を早送りすれば問題なしです。

ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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