おとめ、開封

無駄にきらびやかなステージは大好きだし、興味は昔からずっとあるのだけどどうもコアすぎて立ち入るきっかけがつかめなかったのが宝塚歌劇。 ちなみに母と伯母は中学〜高校時代、中日劇場の公演だけでは飽き足らず、年に数回は近鉄と阪急を乗り継いで観劇に行く程度の「ごく軽い」ファンだったらしい。軽いっていうのかなあそれ。

ついでに言うと何をするにも根性がなく、文化祭でダンスショーをすることになったものの、モダンバレエを習っている子が仕切るパートを志願する気概もなく、衣装だけは可愛いものの振り付けはただシャボン玉を吹くだけというパートに滑り込んでいた、それが自分。


…それが、なぜか30を超え、嫁にも行き、しかも遠く地球の反対側で、「もとタカラジェンヌが教えるジャズダンス」の体験レッスンへ行くことに!!!  いやあ、人生わからないものです。


数多のタカラジェンヌの中でも最上級と言える“男役トップスター”まで登りつめていたという先生wikipediaで調べたところ、真矢みきと同時代に他の組のトップスターだったそうです。日系ブラジル人の宝石商とご結婚されての寿退団だったそう)は、ブラジル在住マダムでもあるせいか、年相応に上半身に肉がついているかな?という印象ながら、「変わってない〜☆」と当時実際に舞台に足を運んでいた奥様がウットリしているだけあって、身のこなしが大変美しいものの少々中性的で、オーセンティックな少女漫画に出てくる大人の男性のようでもある。さわやかで素敵。


そんな先生が張りのあるハスキーな声で「ごめんねー、今日は仕上げの日でちょうど難しいのよー」と教えてくれるステップは、いやあ、驚くほどキザで華麗。そして、ごく普通のトレーニングウェアを着た奥様方が、派手なターンを決めて舞っている!!! 文化祭のダンスショーよりもさらに華やかな、まるで、ブロードウェイの群舞シーンや、もしくはユーミンのコンサートにおけるゴージャスエレガントなダンスアクトのナンバー(「真夏の夜の夢」「恋の一時間は孤独の千年」)みたいに!!!

ズバリ、…うっとり。
そして、見よう見まねでひとつひとつのステップを教わっていくと、体こそはバキバキ言うけれども意外に難しくない。これなら、しっかり練習してストレッチに励めば、なんとかなるかも…安いし。(週2回レッスンがあるため、1回あたりの月謝は、この間のサンバより3割以上安い)



ああ、ノミヤさん(仮名)、私ひっそりあなたが仕切るダンスパートに憧れてました。バレエができて普段の生活はコギャル、ただし頭の出来は抜群で、今では弁護士だというあなたが朝練を義務付けていたあのパートの。シャボン玉を吹く真似をしながら、「もっと積極的なキャラ、かつ朝練する根性があったらあっちに行ってたなー」とか思ってました。
あと、自分含めマニアックな人が集結していることで有名だった図書委員会の、中でもヅカファンということで一層濃い雰囲気を漂わせていたウラノ先輩(仮名)、“シメさまがお怪我をされて主演がマリコになっちゃったのよ!でもまあ、「うたかたの恋」そのものも観たいし、とにかく今回は行かなくてはいけないから行ってくるわ”と言って期末試験直前に宝塚へ旅立っていったのを覚えていますが、先生はその代役“マリコ”のほうみたいです、wikipediaから類推するに(通称「マリコダンス」っていう習い事だし。宝塚の「濃さ」って、きらびやかな芸名があるのにファンは本名ベースの通称で呼び合ってる部分も大きいと思うんだけど、それだけに却って辞めたあとはわかりやすいのね)。散々宝塚へ足を運んでいたのにアッサリ某大学に進学して「趣味に走った生活をしていてもあの大学くらいは受かる」とおおいに自分を勇気づけたウラノ先輩(実際は近鉄の中で勉強されていたのかもしれないけれど)。ただ、実際受かって上京したし、そういう意味ではウラノ先輩と宝塚の存在は大きい(まあ、大学進学後、東京でひさびさにお会いした先輩は、東京宝塚劇場に入り浸るわけではなくマリスミゼルのおっかけになっていたけれども)。


女学生時代、心惹かれつつも敢えて避けて通っていた部分に敢えて足を踏み込もうとしている私。
実は、今まで習い事を始めた時の中でも最高級にドキドキしてます。だって、派手でキザなダンスも宝塚も、ちょっとだけ憧れてたのは事実だもん。日本に帰ったら一回くらい、宝塚のステージも観に行こうと思います。