ついに時が来た

年初に続き右足を捻挫→歯を食いしばったせいか→左の下奥歯が痛い、というまさかの災難コンボで歯医者へ。何を隠そう初の現地での歯医者体験。しかしこの国、幸いにして日系移民が多く、さらには日本の大学や大学院での留学経験もあるドクターも多いという事で、その中でもラテンアメリカらしからぬ治療の素早さで良い評判を聞いた先生の所へ行ってみる。


さて所見は、
・左の下ではなく、左上の奥歯の歯と歯茎が歯槽膿漏の初期症状になっている。一部は骨が溶ける痛みだと思われる
・この歯に関しては、もともと曲がって生えているためかみ合わせが悪く、顎関節症の原因ともなっている
・抜けばとりあえず収まります
インプラントという方法もあります(日本よりも安いらしい)
・でも、大事な事だし、保険もかからないので、相談しましょう
・とりあえず歯石取ります


…なんだかもう、この10年以上言われ続けていることをすっかり言い当てられてしまってぐうの音も出ない名医っぷりでしたが、気になることがひとつ。
「あの、この左上の奥歯は抜くしかないんでしょうか。わたし、小学生の頃もそこの矯正を勧められたんですけど、矯正ではどうにもなりませんか」
「ああ、もう、骨が溶け始めてるから無理だね」


そうか、ついに来たのか。考えてみれば、「“紫の鏡”という言葉を20才まで憶えていると死ぬ」的な、自分の中だけでのホラーな都市伝説として「35才になったら歯がなくなっている」という、小学生時代から歴代のかかりつけ歯科医から言われ続けてきた言葉があるのです。父が40代前半にして歯槽膿漏による総入れ歯、歯茎が弱い、歯石のたまりやすい歯並び、歯みがきをちゃんとしているのに幼稚園の頃から発症している歯肉炎…と、早期に歯槽膿漏になる要素はすべて揃っている、それがわたし。運命にあらがうべくこまめに、麻酔打つレベルでのハードな歯石除去をしていたのだけど、確かにこの2年程は海外に住んでいることもあってせいぜい子供向けの町医者で取ってもらう程度のおろそかになっていた。
2006年には、「2002年よりも歯茎の数値が良くなっている」と喜んでいる形跡がある。
2010年32才の時点で「3年後には歯がなくなっている」と名医の予言を受けている(その時は親知らずから解放された喜びからスルーされているけど)
2012年2月の日記では、4年後への願いとして「歯がありますように…!」と切望している。
そうか、ついにごく普通の永久歯が抜けようとしているのか。思えば12才で生えてきてから20数年、短い付き合いだった。でも、一緒に悪夢の35才を越えられただけでも嬉しく思う。

希望の光は、「いちばん奥の歯を除けば他はしっかりしている」という今回の日系人ドクターのお言葉だ。ああ、せめて、せめて目に見える歯だけでも自分の歯で一生を終えたいんです、神様。


インプラントかー。