心の傷を抱きしめて

母はAKB商法が好きじゃない、とのたまう。えげつないロリータなビジュアルがお好みに合わない模様で、だから今回のAKB襲撃事件でめったやたらとAKB48の映像が流れるのもお気に召さないようだ。そんな彼女には「秋元センセイはヅカ商法をヒントにAKBを作ったらしいよ、チームが5つに分かれてるのとか本丸の常設劇場とドサ周りの共存とか、あと“握手ができるファンイベント”の構造とか」と軽くジャブを浴びせておいて、思う。


人に見られる職業のリスクとか、警備体制の甘さとか、そういう問題じゃない。たまたま被害に遭ってしまった、それこそが本当にかわいそうなことだ。しかものこぎりで襲われたって!ましてや、ケガも実際にしたって!
被害に遭ったメンバーの女の子二人はもちろん、スタッフの男性たちも心配だ。今はまだ平気、でもそのうちじわじわ来る、問題は傷も癒えて普段の生活ではその時の事を全く思い出さなくなったのに、話題にもしなくなったのに、ふとのこぎりを見ちゃったときだ。



PTSDなんて小難しい略称を出すまでもなく、非日常的な事件の傷は、ふと顔を出す。私なんか、夜、日本で友達と外食してるときなんかに、レストラン強盗にあった事を思い出したりしてふと怖くなるのだ。それはどうにもなるものでもない。思わずAKBを出待ちして被害者のメンバーとスタッフのかたを励ましたくなってしまう私なのであった。