おとめ、開封 〜ママの熱い冬編

さて、私が遠く地球の裏側で唐突にハマってしまった宝塚歌劇によって母と私のコミュニケーションもよりスムーズな昨今であるけれど、30数年越しに「宝塚を観に行くと言っても娘に白い目で見られない」身分となった今、母はこの2月・3月、地元・名古屋で晴れておひとりさま観劇を決め込む模様である。ねえ、余程ヅカヲタらしい生活を送っていたという伯母は誘ってあげないの…?「ナイショよ。だって、ひとりのほうがポコッと空いたいい席で観られると思うんだもん。あんただっていつもひとり観劇じゃん」 いやまあ、私はほら、東京や大阪をちょうど通過する日限定で動いてるからさあ…祖母が亡くなって、ふたたび本来のエゴイスト気質むき出しの母だ。


そんなわけで、中日劇場冬の2月定例宝塚公演に行ってきた母。演目は、「どうせなら『ベルばら』が観たい」「なぜ名古屋で『風と共に去りぬ』をやってくれないのか」「え、半分しか中日劇場には来ない?何それ、っていうか残りのメンバーが梅田でやってる『ブラームスクララ・シューマン』のほうがよさそうじゃない、宝塚らしい感じで」とぶつくさ言いながらの『ロバート・キャパ 魂の記録/シトラスの風2』である。以下、彼女の感想を記録する。


「あのね、昔(注:1973年頃)はオーケストラも銀橋ふうのエプロンステージも作ってあったし、大階段ももうちょっと何段かあったと思うのよ。だからちょっと淋しかったわ」
「キャパはなかなかいいお芝居だったよ。期待してなかったけど、場面転換がちょこちょこあって飽きないし、歌やコーラスの場面は盛り上がるし、話も分かりやすいし、期待してなかっただけにすごくよかった」
「コンビニで買った席だったから、やっぱり端っこでさー。なんかもうかなめさん(今回のトップスターさんの名前)の顔もひたすら横顔って感じ。でもすごくキレイだったわー、鼻が高くて足も長くて」
「ショーはあっという間だったわ。特にゴスペルの、(ここでパンフレットをめくる)『明日へのエナジー』は盛り上がっていい曲だった」
「そうそう、初日でもなんでもないのに最後にご挨拶があってね、かなめさんが『また来てください』なんていうのよ。チケットが売れてないのかしら、今日もまた中日新聞の裏に広告が出てるし、なんかかわいそうで。まだいい席も余ってたりするのかしら…」
…何やら、ヅカファンの常識“リピート観劇”の罠にまんまと引っかかりそうな予感満載である。いやまあ確かに凰稀かなめさんは本当に美しい人だが(「宝塚スター」としてわりと地上波のニュースやバラエティなどにもよく出てくる人。超8頭身半。GLAYのテルに似ている、と言われているそうだけれど、個人的にはSTORYモデル富岡佳子さんの弟がビジュアルバンドに挫折して超高級ホストやってます、という感じ←誉めてます。ちなみにとても繊細な演技をする役者さんだと思うので、私は『風と共に去りぬ』なんて昭和の大芝居よりもモダンでセンスのいいお芝居のほうがさらに映えると想像している)。



っていうか、私が動画サイトで拾った他の人が主演の梅田芸術劇場の公演でも言ってたよ、その「何度でも劇場に足をお運びください」ってご挨拶!ママ、騙されちゃダメ! 秋元康だって、AKB商法を最初にカタチにする際に宝塚を参考にしたって言われてるし…!!!


…とは言わずに「うーん、さすがに一般発売分はママの言うような“いい席”(センターブロック10列目以内)は空いてないなあ。でも、ネットで探すとそういう席がほぼ定価で出てくる場合もあるみたいね」などと思わずリピート用のチケットを探してあげてしまった私である。っていうか私が観たかったんだよ、キャパ。あれだけ批判的な母が誉めるならなおさら、チケットがそんなに余ってるなら今でも飛んでいきたいくらいだ。ああ、この距離がせめて日本⇔シンガポール間くらいだったらなあ。しかし中日劇場、夜の部が16:30からって舐めてるんでしょうか。あんだけ地上波がヅカステマしたところで、名古屋のOLが土日の彼氏とのデートの予定なんかを潰すことないまま「ちょっと観に行ってみようかなあ」という気分になるには難しい時間帯だ。 できれば東京宝塚劇場と同じ18:30開演にして欲しい。だって、男社会と言いつつ大票田のトヨタグループだって、三河で17:00終業か名古屋市内で17:50終業がスタンダードだし。あと、なぜか水曜夜が休演になってる週が多いんだけど、金融系の大企業の定時退社日ルールに従って、水曜の夜公演も必須。むしろ、水曜だけでも18:30開演の夜公演をお願いしたいくらいだ。中日劇場にも宝塚歌劇団にもぜひご一考いただきたい点です。今の公演スケジュールじゃ出待ちしか間に合わないよ、せっかく一等地なのに!


そして母は来月、金山の旧・名古屋市民会館で(セットなどの規模が小さめの)地方公演扱いながらついに念願の『ベルばら』を観劇予定です。ああ、そっちも観たかったな…この99〜100周年の再演ラッシュで、一度もまだベルばらを観られていない私っていったい。。。っていうか、宝塚って全国ツアーという名の地方公演とか、ほんとに色んなところでやってるんですね。特定のご贔屓にこだわらなければ名古屋近郊だけでも年間何度も観られるみたいで、ちょっとビックリ。


ちなみにこんな私たち母娘が宝塚を一緒に観劇したのはたったの1回、OG公演を含めても2回。お互いヅカ友はいません。「ママと共通の話題が!」と喜びつつ各々このウルフっぷり、なんか似た者母娘だなあ。誰か笑ってやってください。