めぐる季節

生まれてから高校卒業までと大学を卒業してから結婚するまで、かれこれ通算25年以上を過ごしたあの地方都市の王様と言える100万都市では10年に1度あるかなしかという出身大学のOB会が、地球の裏側のこの街ではなんと2ヶ月に1回ペースで開かれているというこの事実。去年、単独参加したエンジェルフォールツアーで知り合った某OBさんに誘ってもらって出入りするようになったOB会で、新しく年下の女友達も増えた。かれこれ10年以上前のOG会の時は、「同世代だけどちょっとだけ年上」の友達ばかりだったけれど、今度は、私がちょっとだけ(?)年上になる番。


Aちゃんは、奥サマ、ではなくれっきとした駐在員枠でこの街に住んでいる女の子。28才。元気でおしゃれで仕事に生きていて、でも「時間ホントにないんすよー」「ないっす、余裕」という彼女を見ていると、なんだか昔の自分を思い出す。そうか、皆には自分はこう見えていたのか。元気で何の悩みもないように見える彼女にも、きっといろいろ思う事はあるのだろう。昔の自分がそうだったように。ああ、田舎ではなくて中流階級以上の結婚年齢がちゃくちゃくと上がっているこの街に住めていることは、きっと全然違うのだろうけれど(そういう意味では、日本と海外、というよりは、都会と田舎、ということのほうがむしろ重要なのかもしれない)。


ちょっと教えてほしい事があってランチに誘ったら、逆にいろんなことも聞かれた。
「結婚する時って貯金いくらありましたか?」
「駐在員の奥サマって普段何してるんですか?地下鉄なんかも乗るんですか?」
「働いてた時って、時間、ありましたか?」

思い出す。もしかしたら結婚しないかもな、だったらもう少し通勤に便利でそこそこ夜の空気も吸いやすい街のタワーマンションが中古2LDKならちょうどイイ感じの値段で買えるなあと住宅財形の申込書を書いた日のこと。日本に業務報告を兼ねた出張中の駐在員の先輩が「うちのヨメなんか本当に楽しそうに毎日遊び歩いててさー」と愚痴る(が、「甲斐性のある自分」に酔っている)姿に「うわあなりてえ、“駐在員の奥サマ”」と思った瞬間。そうそう、いつだって時間はなかった、けれど今にして思えばものすごい密度の時間を過ごしていたような気がする。5時半に起きて朝から北米とテレビ会議して20時まで仕事して21時から日付が変わる寸前まで飲んで、なんて日もザラで、女子ロッカールームでよく10分程度の仮眠を取っていたのは、今だから言える話だ。


…思わず、日記の過去ログを読み返してしまったわたしなのでした。ああ、時間の無駄。