おとめ、開封 〜ヅカヲタ今昔物語

週末のOB会に、宝塚ファンだという現役女子大生がいた。それなりの会費を取る立食パーティを意識したコンサバなオレンジ色のタンクワンピースにごく薄いお化粧、おっとりと大人しそうな雰囲気は、確かに私の勝手なイメージによる宝塚ファンの若い女の子らしいものだ。「今はご贔屓はいませんが和央ようかさんが大好きでした!今は、そろそろまた好きな人ができるといいなと思いながら全組1回は観ています」という彼女。そして、「この街には某往年のスターさんが嫁いできていて、ヒマな時は我々駐在妻に殆どガソリン代程度のお礼でダンスを教えている」という情報をリークしたところ、「まじですか!DVDで何度も観ています! あの『エリザベート』が大好きなんです!ナマの舞台は見たことがないのですが…」とかなり卒倒寸前の様子だった。うん、そりゃ、いま現役の大学生ということは、先生が活躍されていた時代にはまだ幼稚園児だったと思うので、むしろ3時間もある舞台を観るのはまだ無謀なお年頃だったと思うよ!
しかし若いなあ、私など、先生の退団公演の中古パンフレットを眺めていて、「うっ、宝塚1000days劇場って、あの今はビックカメラと無印になってるあそこだよね!大学時代よく近くには行ったなあ」「ああ、プランタン横のオープンカフェ“オディール”!大人っぽい遊びをする時の待ち合わせ勝負カフェだわ!」などと学生時代の思い出に浸りまくっていたというのに…。変なところでもジェネレーションギャップを感じる同窓会だった。


ところで遠く離れた名古屋では、母と7才年上のその長姉が最近話題の“日本のマチュピチュ”こと竹田城址に泊まりがけで行ってきたそうだ。その中で母は、当時、まだ子供であった母には謎に包まれていた彼女のヅカヲタ時代の生活を聞いてきたそうで、「毎日ほんとうに忙しかった!」という55年ほど前の彼女の生活は、下記の通りだそうである。

・「宝塚歌劇友の会」にはもちろん入会
・「歌劇」と「宝塚グラフ」はもちろん定期購読し、毎月なめるように読む
・チケットは「友の会」で押さえるほか、売出日に名鉄ホール(当時)や中日劇場に並んだりもする
・年に数回は宝塚市に遠征する
・家の庭に出て、大阪のラジオ局の電波をなんとか拾っては宝塚の舞台中継に耳を傾ける
・娘役さんの髪型をまねしてみる
・ヅカ友とフィナーレの歌を歌い、パレードごっこをする
・ご贔屓にお手紙を書く(何度も書き直す)
・ご贔屓に使ってもらえるようなものを手作りする
・在籍者一覧表である年鑑「宝塚おとめ」などを眺め、若手男役に目をつける
・その若手男役を囲む会に参加する(もちろん宝塚市で)

…か、変わらない。“大阪のラジオ局による宝塚の舞台中継”が“専用CS局のタカラヅカ・スカイ・ステージ”に、そしてこちらはさらに些細な話だが“宝塚グラフ”が“宝塚GRAPH”に変わっただけで、なにひとつ『ZUCCA×ZUCA』で描かれる現在の宝塚ファンの生活と変わっていないじゃないか…!


結論:私はどうやら、宝塚歌劇そのものと同じくらいかそれ以上に、この本能のまま暴走しているように見えて実は完璧に伝統を守っている宝塚ファンの行動が面白くて仕方ないらしい。だって、バンギャルの行動とかって、意外にトレンドがちゃんとあるものね。

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オット、体調不良で会社を休む。だるい、関節が痛い、会社に行きたくない…寒気があるというので風邪は風邪だと思うのだけど、何でそんなに月曜日にばかり体調崩すんだ、しかも昨日だって一日中(半ば彼の要望により)休養していたのに。しかも熱もない、いつもの月曜病とは違ってちゃんと起きてくる、何だかそこまで悪いようにも見えない。
後から聞くと、その私の冷たい態度に「結婚生活の危機だ…!」とオットは思っていたらしい。バカか。熱さえなくてひどい下痢や嘔吐とかなければ無理して会社に行け、少なくとも私は行ってた…とは言わずになだめたのでまあいいとするか。
ほか、色々と本当にいらいらすることがたくさんあったのだけれど、とりあえず寒気だけはおかしいと思って、健康相談がてら、こちら育ちの日本人が経営する悪徳クリニック(初診2万円、最新1万円という噂を聞いた。まあオットの会社が入ってくれている保険会社はキャッシュレス診療が効くので知らないのだけど)へ連れて行く。もちろん生活習慣を改めるように言われた。当たり前だ。
お昼は細めの冷麦(素麺にあらず)に、万能ネギと梅干、しょうがをどっさり合わせて何だか私まで病人モード。夜はラーメン屋さんで、1杯1,800円くらいする味噌ラーメン(まあ、日本でも950円くらい出せる味ではある)を食べる。そうしたら、代謝が上がったのか、オットは少し元気になったらしい。なんだか麺祭りだけど、まあ、いいか。