せつないデパート

実は前回日本に帰ったときくらいに「日本の地上波テレビ番組を(合法的に)時間差で録画・普通のテレビで観る」ことができるようセットしたのですが、そんなわけで頻繁に見逃したりしつつもあれこれ気分転換程度に眺めることができるようになったのですが、『ハリツキ!銀座松坂屋 閉店まで100日張りついたら分かったこと』という、日曜昼間放送の、誰が見るんだこんなのというゆるいドキュメンタリーを観た。


ええとね、記憶の中にはまだハッキリ残っている風景が、まだその番組には少しだけ残っていて楽しかったです。と同時に、ああもうあのデパートは世の中に存在しないんだな、と思う。FOREVER21のオープンの時も、フロアがまるごとLAOXになった時も、ああもうこのデパートは長くないなと思っていた。でも、シャビーなイートイン付デパ地下は好きだったし、ものすごくマイナーな場所にあるアウトドアグッズ店にもお世話になった。ああ、7階のマッサージ屋もけっこうハシゴしたなあ。アレもテナントだったけど。靴の修理屋とかも意外と銀座にしては安くて、ちょこちょこヒールのゴムを張ってもらいに行ったっけ。


もっともっと昔、名古屋で働いて東京へたまに出張していた時、うっかり手土産を買い忘れて、必死で開店直後のデパ地下に突撃し某ナゴヤ系和菓子店でそれらしいものを購入して素知らぬ顔で渡したのも良い思い出です。銀座線と丸ノ内線の時間、必死で調べて走ってたなあ。懐かしい。


吉祥寺伊勢丹が閉店した時もえらい騒ぎようでしたが、今回のその番組は、タダの感傷ではなくて「いかにお客様を引きつけるか」ということを何度もテーマにしていたのが印象的だった。実際、「今日は寂しさとリニューアルへのワクワク感両方の気持ち。銀座の街、お客様にありがとうと言いたい。4年後へ向けて、世界に発信できる銀座のランドマーク施設とするため着々と準備をしている。グループの松坂屋上野店・大丸東京店と連携し、顧客を離さないようにしていく」と閉店当日に店長は言ったらしい。新しい商業施設にあの化石のような松坂屋が本当に(最低でも名古屋の南館や心斎橋の大丸の低層フロアみたいな形にはするにしても)入るのかどうかはわからないけれど、入ったらいいな、と思う。


阪急モザイクもなくなっちゃったし、次に銀座行くと様変わりなんだろうなあ。そう言えば私が働いてた会社も新歌舞伎座に移転したという噂を元同僚から聞いた。うん、これは手土産もって遊びに行かなくちゃね。