親切がすべて仇になる

独身時代から、その個人HPやら旅関連の本に寄稿している文章やらを愛読していた女性バックパッカーのエッセイを久しぶりに読んだ。スペイン語に堪能で、中南米を中心に放浪の旅をしていた彼女の回顧録にあった言葉がものすごく印象的だったので載せておく。

親切がすべて仇になるのがラテンアメリカなのだ。親切にすることも、親切にされることも。時間を訊かれて袖をまくったとたんに腕時計は盗まれる。ケチャップの汚れを拭いてもらっている間に財布は掏[す]られる。だますよりもだまされる方が悪いとナタリアは言うだろう。インカ最後の皇帝アタワルパがスペイン人にだまされて処刑された日から、中南米ではだますよりもだまされる方が悪いのである。(片岡恭子/Web春秋 2013年1月25日更新)

なんだかその話がものすごく身に沁みる、最近の自分である。っていうか現地人や日系移民ウン世の現地人だけが問題なんじゃない、日本で生まれて日本で育ったにもかかわらず今なぜかラテンアメリカにいる、“ふつうの日本人”だって立派にそうなんだよ。親切心なんて、ムダな誤解やいさかいを産むだけだ。

…まあ私もラテンアメリカに居住する人間だから、ご多分に漏れず、そういう人間のひとりなのだろうけれど。