駐在員妻として、もとメディア専攻として

そして自分自身もかつて海外事業を担当していたこともあって、アルジェリアの邦人人質殺害事件はやっぱり気になります。今住んでいる国はそこまで危なくはないし、うちのオットはそんなに危ない仕事はしていないはずなのだけれど、海外で働くことってやっぱり日本の理屈が通らない展開がままあるよね、そしてその事実を忘れちゃダメだよね、という。そもそもこの国だって知らないうちに治安って悪化しているらしいし。


メディア専攻としてはは何と言っても、今まで散々、被害者の名前を実名報道していたのに、なぜ今回、ここまで積極的に隠そうとされてきたのかという疑問。バラした報道機関もあるけれど、一旦紳士協定を結んだ部分を敢えてバラすことそのものはよくない。問題はそもそも「なぜ隠してもよい、ということになったのか」という事前の部分にある。遺族の気持ちなんて今までのいろんな事件でだってさんざん踏みにじられてきたじゃないか…という。うちの大学の先生(実際、講義も受けたことがある)も「遺族への配慮は大事だが、被害者がどういう人で、現地でどんな役割をしてきたかを明らかにすることが、テロの全容を解明する上で必要となる」「身元が分からなければ、会社や政府の対応に問題がなかったかを検証することもできない。この先もずっと名前を出さないという対応には疑問が残る」とか早い段階で文句言ってたなあそう言えば。我ながら毒されてるなあ。


ここからはかつて一企業人だった経験から考えて、恐らくは、行方不明とされていたかたのうちの一人がその企業の要人(最高顧問、もと副会長)だったことがいろいろ影響してるんだろうと思う。治安に不安がある国にそういうポジションの人がわざわざ行っていた理由はたぶん、何かの契約とかが絡む話があった可能性が高かったのではないだろうか。そしてそれだけのポジションの人がいたという事は、他の被害者のかたのポジションもタダの駐在員じゃない、日本からついてきた秘書やら何やらそういうちょっと特命系の部門に属するかたもいらしたかもしれない。こうして資源国(ただし治安に不安がある)・プラント開発・契約もしくは重要な会議…とキーワードをそろえていくと、何となく、隠そうとしてしかもそれが認められた背景の雰囲気がわかってくるというかなんというか。きっと、単にプラント開発の支援者が犠牲になられた場合とは違ういろいろな要因があるんだろうな、という気がする。まあ、タダの勘ですけど。


最後に、犠牲となられたかたのご冥福をお祈りするとともに、事件の一刻も早い背景解明を願います。日揮って横浜時代に家から本社のある建物が見えて、「あー、あの立地にあるあのクラスの会社で働きたいものだわ」とか思っていたので、何となく他人事じゃないんですよね。