Over30の美と元気

今さらこっそりと「ヅカ部」が発足しそうなダンスの習い事メンバーですが(まあ、何だか先生も嬉しそうだからいいんだけどさ)、紆余曲折を経て現在は舞台系の雑誌の編集者をしている友人・kikiちゃんに「ヅカの素晴らしさも教えて」と何かの拍子に言われた時にハタと気づいた。ああ、私そんなこと語れるほどまだ宝塚を観ていないわ!


とりあえず私が宝塚を観ていて感心してしまったのは、まず、「子役からおじいちゃん役まで、すべて(広義での)結婚適齢期の独身女子が演じている」ということ。あと、中世ヨーロッパの宮廷ものから日本の時代劇、近年の演目を見ても「オーシャンズ11」「メイちゃんの執事」「JIN」「ニジンスキー」と種々雑多な題材や原作を、曲がりなりにも消化し世に出していること。海外のバレエ団でプリマになれるほどバレエができるダンサーも(日舞の名取り程度はいらっしゃるようだけれど)、小劇場でカルト的な人気を誇れるような役者も、10代からモデルとしてピンで世に出てそのままメディアで大成できるほど今風な容姿の持ち主も殆どいないように見えるけれど、総合力で夢の舞台を作り出しているという事実。何だか愛や夢とはかけ離れた部分の話ばかりで申し訳ないし、恐らくは宝塚ファンが聞いたら怒ってしまいそうな言い草だけれど、少なくとも私はそうした“総合力”に感動してしまうのだ。


ついでに、“出産を経験していない30代女子”という目線からその中心人物である男役トップスターを見ると、畏怖の念すら覚えてしまう。彼女たち(オットが見ても「男が見ても圧倒的にカッコいい」と言っているので、敢えてそう言うのがいいのかどうかわからないけれど)がその座に就くことができるのは若くても28才くらい、遅いと35才くらい。そして1年〜4年くらいは、“トップスター”として笑顔を振りまきながら歌い踊り、40キロはありそうな同性の女子を“リフト”という技名のもと持ち上げ振り回し(宝塚の娘役さんは意外に身長も筋肉もありそうなので、細く見えても30キロ台の人は少ないと思われる)、最後には20キロ以上あるものを背負う…という3時間の舞台を週に10公演こなすことになるのだ。もちろん、もって生まれた部分は大きいにしても、体型などに一切甘えはない。「22〜23の子ならともかく、今さら笑顔もないよね」「あーもう、28にもなるとすっかり腰痛がひどいし白髪は多いし」「30過ぎると体力的にガックリ来て無理がきかなくなる」「さすがに30過ぎてだいぶ経つし、よく考えれば別に出産で体形が崩れたとかじゃなく単純に“中年太り”でもおかしくないトシよね」と言いまくってきた自分は何だったのだ。タダの甘えではないか。


個人的には夢見る少女目線でも有閑マダム目線でもなく、「戦う30代女子」目線で男役トップスターを見ても、何だか感動しちゃうなあと思う私なのです。本当、甘えてる場合じゃないよ。