おとめ、開封 〜実践編・前編〜

moeringal2012-05-31

タカラヅカーーーーーーーー!!! というわけで、そもそもは南米で暇つぶしに民族舞踊(と言って差し支えないだろう)を習いに行ったはずだったのに、なぜ私は日本はほんの1年前まで汗水たらして働いていた場所に程近い東京宝塚劇場にいるのでしょうか。それは私の実行力のなせるわざね!!!
と、いうわけで、有楽町の外資系銀行で働く大学の先輩とランチに行ってから前職である銀座のネット関連会社時代の同僚と飲みに行くまでの間、宝塚歌劇団の公演を観てきました。


いやーーーーーーーーーーー、こんなにも無駄にきらびやかで(注:誉め言葉)大人数が携わっている大がかりなものを、全国2か所、ライブで言えば大き目ホールクラスのキャパシティのゴージャスな常設劇場で毎日、へたをすると1日2回もやっているなんて!!! 恐るべし、宝塚。


その内容は、豪華で多種多様な衣装もさることながら、とにかく舞台に立つ人数が多い。まず前半のミュージカルでは、背景のような「その他大勢」まで、これでもかと人が出てくる。後半のレビューショウに至っては、中盤で唐突に出てきてラインダンスをして、フィナーレの階段の端でニッコリ笑っているだけの要員までいる。オーケストラももちろん生で、ほぼフル編成。もともと打ち込みの曲も少なくなくて、もっと打ち込みにして人数を減らすこともできるのに、惜しみなく人員を投入している。少なくとも日本公演を観る限りシルク・ドゥ・ソレイユより多い、ユーミンの『シャングリラ』には人数的には流石にかなわないけど何しろ普通のホールだから、舞台上は異常な人口密度。そもそもシャングリラは4年に1度やるかやらないかだし、パフォーマーとアーティストが明確に分けられているから、比べるのもおかしな話だけど。


そしてその中で絶対的な存在として君臨するのが、男役トップスター。もう衣装から何から、すべてが2番手以下よりも格上のものを与えられている。ちなみに今回のトップスターさんはやさしくキレイに響くアルトの歌もうまいし、踊りもそれなりにうまいし、舞台化粧も映えている感じで、惜しむらくは身長がたぶん私と大差ない…という感じの人だったけれど、それも後半のレビューでは“できるだけ他の長身男役のそばに立つことがないよう”せり上がりや舞台での立ち位置をうまく利用して身長が目立たないように構成されていた。もちろん公演のフィナーレでは、歌の上手いお姉さんや色っぽいダンスも披露した娘役のみんな、それなりにきらびやかな羽を付けた上席と思われる男役の方々、いちだんと美しい衣装の娘役トップスターなどがほがらかに登場した後、暗転し、曲調も一転して厳かなものに変わった後、スポットライトに照らされながらバカバカしいくらい巨大なクジャクの羽を背負って、彼女(彼?)は階段を降りてくるのだ。


キャーーーーーーーーーーーー、ちょっと、Youtubeで観た通りのこの展開!!! 


未だ80年代、昭和の匂いを残す、偉大なるマンネリ。都市部郊外の温泉ショーに端を発した、すばらしく特盛りな伝統芸能の世界。すべてが過剰で、あまりに惜しみなく、ゆえにバカバカしいきらびやかさ(そして汗臭くなさ)に、現実を忘れられる一瞬。ああ、もしもコレの存在を知っていたら、もしかしたら私は、時に会社帰りにフラリとここに来ては一瞬だけ辛い仕事を忘れて気分転換し、オットより仕事を続けることを選んで会社にとどまっていたかもしれない。なにしろ、稼いでることだけがアイデンティティの人間(今はそれすらもない)だったわけだから。まあ、平日ソワレ開演の18:30までに会社を上がれる事なんてタダの一度もなかったから、現実的な話ではないのだけどね(っていうかそもそもオットの海外赴任について行ってなかったらタカラヅカに興味を持つこともなかったはず)。


次回、一時帰国するかもしれない時期の公演予定表に銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』を見つけ、道原かつみの漫画版どおりでもじゅうぶん無駄にクラシカルできらびやかな帝国軍の軍服を身にまとった男役の皆様が勢ぞろいし、さらにスパンコールを追加した男役トップスター演じるラインハルト役がその中心となって、結婚式で花婿が履くようなヒール付きドレスシューズで必要以上に長くした脚を一斉に振り上げて舞い踊るシーンを勝手に妄想しながら「銀英伝か…観たい…」とつぶやく私でした。(※もちろん、本当にそんなシーンが盛り込まれるかどうかは知りません!!!)