おとめ、開封 〜ママ編〜

最近、体調を悪くして病院通いが続き、祖母の介護もままならないのがまたプレッシャーとなってすっかり心身ともに落ち込んでいる母ですが、ある日スカイプにて私が「こっちの人と結婚している元タカラジェンヌの先生に習うダンスが、私どんくさいから大変なんだけど楽しくてさー」と近況を報告したところ、だんだん話の雲行きが怪しくなってきました。まず、先生の現役時代の芸名は知らなかったものの、そこで話題が終わらない。


母:「昔は年に何回かは近鉄と阪急を乗り継いで大劇場に行ったし、毎月「歌劇」と「宝塚グラフ」を買っていたものだけど、ママも結婚以来宝塚からはすっかり離れてしまったからその世代となるともうわからないわね。で、先生は何組のスターだったの?
私:「(中日劇場の地方公演だけかと思いきや、そんなに熱心だったのか!と驚きつつ、wikipediaを閲覧しながら)…星組?だったみたい」
母:まあ、星組! ママはね、ナチ・ワタルのファンだったの。でAちゃん(伯母。母の長姉)は寿美花代の筋金入りのファンで、今でいうファンクラブの活動もしていて、その中で最前列の席が回ってくるまでに登りつめていたわ。そしてHちゃん(伯母。母の下の姉)も星組ではないんだけど…(以下略)」
私:「(なんだなんだ、また訳のわからない固有名詞がいっぱい出てきたぞ。寿美花代は高島ファミリーのお母さんよね。エプロン姿しか憶えていないなあ)ふうーん、そうなんだ」
母:「そう、寿美花代と言えば“華麗なる千拍子”でのリオのカーニバルのシーンが忘れられないわ、そこでは寿美花代が普段は男役だったのにカーニバルの女王役になったのよ。そう、あれ以来リオに憧れてるのよママは…ああ、やっぱりリオに行きたいわ、せっかくあんたがブラジルにいるんだし、体さえ大丈夫なら…」
私:(何だか知らないけど母が元気になってきたぞ。よーし)ああ、ママ、大丈夫、行けるわよママ!」
母:「そうね、そうしたらあんたのダンスのお稽古も見学に行けるのかしら?先生にもお目にかかりたいわ!その前に、その先生が現役だった頃の動画とかはないの?」


なぜかどんどん芝居がかった口調になっているのはたぶん、気のせい。ともあれ速攻で動画サイトを漁り始めた私です。ああ、母に生きるモチベーションが湧いてきたようでよかった! 地球の裏側発発宝塚歌劇経由、何がどこでどうつながっていくのか、わからないものです。