戦場から遠く離れて

この国ならではのいろんな理不尽と駐在員社会という名の狭いコミュニティでお互いを監視し合う生活に早くも疲れたオットは今すぐにでも日本に帰りたい、らしい。曰く、日本は治安が良く、すべてが効率的で、衛生的で、物価が安いから。何よりも停電がないから。そんな彼は、去年の震災時、出張で来ていたこちらで平然と酒を飲んでいた。


そうかなーーーーーー。きっとコイツは、東北産の野菜が積まれていて「東北を助けよう!」というPOPが飾られているその裏におそろしい高値の九州産の野菜が置かれていて、しかもその高いほうからなくなっていくデパ地下の野菜売り場とか、何が物陰から出てくるかわからない計画停電中の夜の住宅地とか、ガソリンスタンドの長蛇の列とか、そういうのを知らないからなあ。一気にマイナス方面にシフトしたあの時の日本を知らないのは、まあ、幸運なんだろうな。


まあそれは私も一緒で、今でも他人事のように“格納容器で73シーベルト=2号機燃料「高さ40センチ」―東電”なんてニュースをネットで流し読みしている。遠く離れれば実感は薄れる、そんなものかもしれない。


一方、日本国内外問わず、反原発運動をやってる人が、最近妙に周囲に増えてきたんだよなあ。海外に住んでるにもかかわらずわざわざ日本へデモに参加するために帰る人というのに、この1週間で3人も会ってしまった。なんなんだろうね、これもある種、トレンドってやつ?