ミラノダービーで考える日本のマスコミ操作

草サッカーから帰ってきたオットが開口一番「今日はカレー(週末の定番メニュー。オットがいつも野菜を切っている)を早く作って、ESPNブラジル(言わずと知れたケーブルテレビのスポーツチャンネルのブラジル版)ミラノダービーを観るで!!!」と高らかに宣言。どうやら草サッカー仲間から情報を仕入れた模様。…というわけで、夕方18:00からテレビでサッカー「ACミラン×インテルナツィオナーレ・ミラノ」をじっくり観る。


内容は、ミランの一瞬の隙をついて取りこぼしなくディエゴ・ミリートが流し込んだインテルがその後30分以上守って守って守り抜いて1-0の勝利…という、「おお、これぞイタリアサッカー!」なウノセロ展開。ブラジルサッカーのザル守備というかむしろ「突っ込んで来たら決めさせてあげる」プロレス的様式美(両チームともセンターバックにブラジル代表がいるんだけどなあ)にうんざりしている私には興奮の展開、ただしオット(ミラニスタ。ちなみに今回、ミランのホーム扱い)はガッカリ展開でした。ただし、試合中ふたりで叫んでいたのは、「ミラン、左は攻めないで!」「アバーテ、反対側へ流せ!」「ああもう、パトはまだしもボアテングにまでアッサリ抜かれるなよ!!!」ともっぱら『ハラハラしながら長友を見守る授業参観』状態なセリフでした。だって日本人だもん当然でしょ!!!っていうか長友、危う過ぎ。後半キヴが投入されて1列上げられてたのも、「アジアカップ決勝の再現でハーフ登用」っていうより単に守備としての信頼感がないだけな気がした。ミランの速攻をクリアで止める場面にしても、スローインにできるところをコーナーにしちゃったりとか。攻撃参加っていってもまともなクロスは上げられてなかったしなあ。あとは見当違いのミドルを宇宙開発したりとか。


…ところが、翌日の日本のスポ新の報道はこれですよ。

長友、ミラノダービーで見せ場/セリエA
ニッカンスポーツ 2012年1月16日9時4分セリエAインテルミラノ1−0ACミラン>◇15日◇ミラノ長友佑都が所属するインテルミラノが1−0でミラノダービーを制した。後半9分にミリトが先制ゴール。これが決勝点になった。インテルは6連勝。
長友は左サイドバックで先発し、後半途中から左MFでプレー。ドリブルで持ち込みミドルシュートを放つなど見せ場をつくり勝利に貢献した。

インテル ダービーで快勝 長友フル出場で6連勝
スポニチアネックス 1月16日(月)8時45分 イタリア1部リーグ(セリエA)は15日、各地で行われ、日本代表DF長友佑都が所属するインテル・ミラノはACミランとのダービーマッチに1―0で快勝した。長友は左サイドバックで先発し、後半途中から左MFでプレー。得点には絡まなかったがフル出場して6連勝に貢献した。
インテルは後半、FWミリートが決勝点を挙げた。順位は5位と変わらなかったが、首位ユベントスとの勝ち点差を6に縮めた。

いやいや、ウノセロを快勝とは言わんでしょ。それに、ボールポゼッション的には明らかにミランのほうが押し込んでたし。

長友的には、「攻撃上手くなったなあ」という印象よりも、「守備ヘタになってないか?」という危うさの方が私は強かったです。ミラノダービー的には、インテルは先制したところで「ここでさらに点を取って突き放す」という方向よりも「守って守って守り抜く」の方向に振れる心理のほうが強いはずだから、ここでキヴを入れたのは「長友を攻撃に専念させる」というよりも「長友が狙われてるからもう一枚厚くする」という印象。実際、ガンガン抜かれてたしなあ。


ポルトガル語の中継(あ、あとドイツ旅行してるときはドイツも)を見ていて思うのは、なんか日本のマスコミって「長友上げ・香川下げ」の傾向が強くないか?ってこと。香川がボール持った時のドイツ人(と、あとブラジルの吹き替え実況部隊)の盛り上がりはハンパないよ。『キッカー』誌あたりが香川に厳しい評価を与えていても、それは元の期待値が高すぎるゆえの事。今回の長友が『ガゼッタ・デッロ・スポルト』誌で6.5をもらったと言っても、今回インテルは6.5もらえてない選手のほうが少ないくらいみたいだし(もちろん途中出場のキヴも6.5。負けたミランでもネスタは6.5もらってる)。


私はサッカーに関しては根っからの「代表至上主義」で、だから代表プレーヤーには日本国内外問わず頑張ってほしいんだけど、現代表・海外組の報道のされ方は時々「?」と思うことが増えつつある今日この頃です。まあ、サッカーは自分の目で見ろって事かしらね。