大国・王国への道

いやあ終わりましたね、怒涛の地上波生放送サッカー週間(注:なでしこの五輪アジア最終予選で残っている中国戦は現時点では生はBSのみの予定)。この日本において、こんなに毎日サッカーの試合が地上波で生で観れることが今後あるのだろうか。でもどれも視聴率よかったみたいだし、この次くらいまではちゃんとやってくれるかなあ。


そこで気になるのは、「男子も女子も、思ったより弱くてつまんない」という巷の意見。いやあ、数年前「負けないサッカー」という言葉が流行ったのがウソのようよ! 皆もう忘れたの? なでしこだって、あれだけ女子ワールドカップで燃えたのは延長・延長・また延長の中の劇的勝利で、逆に言えばそんなに得点力があるわけではない中、メンタルの強さとそこから来るプレー精度の高さで接戦をものにしてきたから。逆に、今日の女子の北朝鮮戦に関しては、珍しくクロージングを間違えたなあと思う。あそこは采配的にはダラダラと選手の交代枠を使い切って、しかも“鹿島る”のが上手い丸山を入れるべきだったし、中盤より後の面々はいつもの注意深さが足りていなかった。でも、あくまで珍しいってだけだからね。そんな日もあるでしょう。何より、負けてはいないわけだし。


ただ、一方で、「日本もここまで来たかー」とも思うのです。ブラジルの特に男子サッカーでは、「勝つ」のはアタリマエ、「美しく勝つ」ことこそが重要だと言われています。ブラジル人にとっての「美しく」とは、ドリブルで華麗に突破してビューティフルゴールでゲームを決める、ということ。その方向性が度を越しているので、泥臭く優勝するよりも、前線にスターを揃えて華麗な攻撃サッカーを押し通して敗れ去る方が民衆は納得するのだとか。…まあ、それがブラジルの近年の低迷を招いているような気がしなくもないのですが(ドゥンガのやり方はモダンだったからもう4年やればもっとよくなった気がするけど、民衆が我慢できなかったんだそうです)。
…ともあれ、勝ち方まで取り沙汰されるのは日本が強くなった証拠、とも言えます。ワールドカップ優勝の女子は当然のこと、男子も含めてサッカー後進国からサッカー大国、そしてサッカー王国へ。ここからもう一段上がるとき、「勝ちにこだわる」のか、「観客が観ていて楽しめて、負けても納得できる戦い方」を突き詰めるのか、改めて選択を迫られそう。


勝ってアタリマエだから勝ち方が重要。できれば華麗なパス回しで敵を圧倒して圧勝。…でも、それってアジアでは難しいんだよなあたぶん。この一週間、アジアの芝そのものが長い上雑草交じりなピッチコンディションにすごく苦労して、思うように動けず、ボールを操れていない選手をたくさん見かけたような気がする。香川、内田、永里優季。…もしかしてドイツのピッチコンディションが良すぎるのかしら? 確かにTVで見る限り、キレイそうだけれど。でも、古くは某スシボンバー(ドイツ・ブンデスリーガ1部で年間ふたケタ得点)もアジアではかなり期待外れになってしまっていたし、あながち外れではないのかもね。