勝つ女 〜華和家の四姉妹

いやあ、「華和家の四姉妹」そのものは別にそこまでハマり要素はないドラマで、何となく見てるだけなんだけど面白い。何が面白いって、次女・観月ありさのはっちゃけぶりでも長女・吉瀬美智子の働く女子なら憧れないはずがない美しい編集者っぷりでも、もちろん川島海荷のもっさり過ぎてむしろ微妙な萌えオーラ出しっぷりでもなく、貫地谷しほり演じる三女と、あとは次女の元夫を狙う秘書の女。


秘書の女は(まあ実は裏がありそうな演出もあるんだけど)、妊娠した子供を盾に元夫にニッコリ微笑んで強要する。「二度と前妻の子供に会わない、名字も使わせない」。調停とかどうなってたんだとか野暮な話は抜いて、彼女は、最後の子供たちとのデートすらドタキャンさせる。彼女は一見楚々としたタイプで、決して美人ではなく、ひそかに高価そうだけれど一見地味でぶりっ子風なスーツをいつも着ていて、タダの部下だった頃はきわめて従順な素振りを見せていた。間違いなく、“本命の彼女になりやすいタイプ”だ。


いっぽう三女は、明らかに婚約者(名前は正ちゃん)の心が離れていることに対して言う、「美貌も才能もない平凡な私よ。そんな私が誰にも負けないって思えるのは正ちゃんを好きって思える気持ち。正ちゃんがどこで何してようとかまわない。私は絶対に正ちゃんの手を離さない。」 彼女もまた、もちろん貫地谷しほりだから可愛いんだけど、オフィス服・私服共に流行を押さえながら微妙に垢抜けない雰囲気が、逆に“実際モテるタイプ”を地で行っている。


そのあともう一話観て、このドラマそのものはどういう結末に持っていくのかはわからないけど、ああこうなんだ、と思う。こういう女、こうと決めたらどんな嫌な予感がしても「彼の手を離さない」女が、きわめて現実的な「勝つ女」なんだと。そして「勝つ女」は、結婚後は手のひらを返すように君臨する。


私はずっと不思議だった。結婚に至る若い男たち(それなりにいい会社に勤めていてそれなりに不細工ではない、しかも次男とか三男)が、時に結婚に対してすごく素気なかったこと。彼らの多くは結婚後も、「子供はかわいいけど嫁はどうでも…」なんて言っていたっけ。「またまた、そんなこと言って〜」なんて彼らの友人だった私は言っていたけど、もしかしたら、そういうことか。単なるツンデレじゃなくて。


うちの両親はケンカばかりしているようでそういう風ではないし、実際に私が結婚したオットも、少なくとも今のところはそんな感じではない。だからこそ、今まで不思議でしょうがなかった、知らなかった部分、パズルで言う最後の一ピースがようやくはまったような気がして、ドラマだからそんなにうまくいかないんだろうなと思いつつ(考えてみれば「ドラマだから上手く行かない」って普通と逆だよね)、面白く彼女たちの行く末を見ている。…まあ、今さらあまり関係のない話なんだけどね。