ハイエンド・ディープ・ツアー 〜リオデジャネイロ旅行記(4)

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ブラジル駐在の手引き書みたいな本を読んでいると、「行ってはいけない場所」として、“ファベーラ”が必ず挙げられています。要するに、スラム。これが、遠くから見る限りは、市内中心部に程近い丘の上に狭い住宅が密集している感じで、日本の横浜あたりではむしろ「憧れの住宅地」といった立地なんだけど、インフラの整っていない中南米以南では、「水道が届かない=本来は人の住めない場所」ということでスラム化しているらしい。
強盗から麻薬取引まで何でも来い、とにかく近寄ってはいけないよ…ということで、サンパウロの市内地図でもわざわざ「F」という地図記号で警告を発しているくらいです。

しかしそんなファベーラを訪れるツアーがリオでは催行されているということで、参加してみることにしました。だってこれから数年間生活する身としては、気になるよね? たくさん目にするのに絶対に近寄れない場所って。


…と、迎えに来たのはなぜかジープ、というかトヨタ・バンデランテ。
うわーこのツアー、わりと世界各国の観光地で、テンション高そうな欧米人が乗ってる恥ずかしいアレか…。

ガイドさんとドライバーさん。ガイドのセイラさんは、片手の不自由な女性。昨日の市内観光のガイドさんよりずっと英語が堪能で、ファベーラまでの道中も、主な特徴的な建築物は全部紹介してくれました。

まず、テンション高くようやく晴れた空の下、オープンエアでコパカバーナ・ビーチを疾走した後、ちょっと恥ずかしい感じで(でも、昨日と同じような場所でも、窓がないから写真は撮りやすい)旧市街地を抜けて、入り口である丘の上まで道なき道を行く。と、その前に!!!

昨日コルコバードで大混雑の中必死で見た、ポン・ジ・アスーカルがこんな綺麗に!!! 超穴場!!!

そして、本題のファベーラへ。それにしても景色がいいなー。

狭くて入り組んだ道を、どんどん降りていきます。しかし野良犬が多い、あとその糞が多い…っていうか、こんなにやせ細った犬がこんなに大きいう●こをするんだろうか? というくらい、巨大なう●こが点在していた…まさか、人間の? 水回り悪いって言うしなあ…。


サッカー好きなら必ず「貧民窟で、裸足でサッカーボールを蹴っていた子供がブラジル代表に…」みたいな伝説を聞いたことがあると思うけど、その「貧民窟のサッカー場」ですよ! そしてほんとうに子供が裸足!(興味本位ですみません)

以下、風景。それなりに気に入った写真を並べてしまうと、そんなに汚くはないように見えるなあ…。結構、粗大ゴミ廃棄場みたいな住居もいっぱいあったんだけど。




それでもこのファベーラは、あのマイケル・ジャクソンも視察に来たというところ、すなわち比較的安全で豊かな「ファベーラのモデル都市」くさいんですけどね。こうやってツアーも組まれているわけだし、ってことはお金も落ちるんだろうし。ファベーラも格差の時代か…。

というわけでファベーラ・ジープツアー、個人的にはアタリでした。日常生活に入る前からすでに気になるファベーラを、例えモデル都市でも何でも安全に見れて、さらに絶景つき。雨が降ったらいろんな意味で洒落にならないと思うけど…。

行きは私たちが最後だったので、他のメンバーを降ろして帰途に。アイルランド人のご夫婦、スペイン人の男性2人組、ブラジル人とアメリカ人のおひとりさま男性…というのがメンバーだったのですが、男性たちは揃って、超高級ブティックホテルで降りて中に入っていった! ご夫婦も海岸沿いのホテルに1ヶ月長期滞在って言ってたし、私たちを除いて、なんだかすごーく裕福そうな人たちだったんじゃ…。ファベーラツアー、その実は物好きなハイエンド向けに作られたツアーってところか。うーむ。でもまあ、ほんとうに危険なのは嫌だもんね。

そしてそんなセレブの中で、「う●こ気をつけて!」「そっちもう●こ!!!」と小学生男子のように「う●こ」を連呼していた私たち。ああもう、彼らが唯一知ってる「スシ」以外の日本語が「ウンコ」になっちゃったらどうしよう!(笑)