国内サッカー最前線・横浜発松本行 〜信州松本旅行記(1)

MATSUMOTO_SOBA

長野県松本市へ旅行に行ってきました。主な目的は3つ。


(1)海外生活スタートを前に、なにげに日本の城マニアであるというオットとしては、故郷大阪からのアクセスが中途半端に悪いため後回しになっていた「国宝・松本城」を見に行っておきたい。
(2)さよなら優雅なDINKSライフ、その前に高額でおしゃれチックな温泉宿(ルレ・エ・シャトー加盟)に泊まって贅沢したい。
(3)JFL松本山雅FCの試合を見る。その目的は、A.映画『クラシコ』で触れた“地元のマイナーリーグサッカーへの熱狂”に触れる B.昨年限りでマリノスをクビになった松田直樹に声援をおくる、のふたつ。


…というわけでまずはサッカー観戦です。去年のマリノス終戦と言い、長年愛着のあるプレイヤーであることに間違いはないけど、わたしたち片道300キロ以上かけていくほど直樹の事スキだったっけ…。いやいや、サッカーはパッションだ、深い理由はいるまい。それに映画『クラシコ』はほんとうに、信州観光案内としても素敵だったし。

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国道16号を八王子に抜けて、中央道から長野道を通って松本のひとつ手前にある塩尻北インターで下車。16号の渋滞を避けるべくして早く家を出たら、これがスムーズに行き過ぎてしまい、9時過ぎには会場の松本平広域公園総合球技場・通称アルウィン付近に着いてしまった。早すぎるよ! 付近にある「唐沢そば集落」でお蕎麦を食べてから行こうと思ってはいたけど、それでも10時半の開店まで間がありすぎる…と思って、せっかくだから駐車場の場所をチェックしておこう! と行ってみたら、


既にスタジアム前の駐車場にはぞくぞくと車が押し寄せている。


“マツ目当て”と思われる相模ナンバーのステージア(ご丁寧にマリノスのステッカーが貼ってある)や横浜ナンバーのセレナ(降りてきたのは横浜でも松本でも松田が着けている背番号3の松本ユニフォームを着た女子と気の弱そうなドライバーの男子。それにしてもちゃんと日産車だなあ)はうちと同じくリードタイムを厳しく読みすぎただけとして、松本ナンバーや諏訪ナンバーの車がふつうにどんどん入ってくる。…えーと、キックオフは14:00だったよね? 思わず交通整理の警備員のお兄さんに聞いてみると、

「そーですねえ、だいたい11:00くらいまでなら大丈夫ですけどねぇ…」なーにー!!! そば集落はここから10分ちょっとで着くみたいだけど、出てくるまでの時間次第では11:00って危ないじゃないか! 「11:30頃だと危ないですかね?」と言うオットにウッとなるお兄さんの様子に慌てて「ほかに駐車場はありますか?」と質問を変えてみると、「ありますよー。あっちからグルッと回ってまっすぐ行って、企業さんの駐車場を借りてるんですけど、そこからなら歩いて15分ちょっとです。それ以降になるともうちょっと遠くなりますねー」…そっちでも十分遠いじゃん!

そうこうする間にも順調に増える車。信号が変わる時に入ってくる車の数も1回ごとに増えている。…これ、危ない?



というわけで、日和った私たちは蕎麦をあきらめ、「早春の田園風景に忽然と現れたサッカースタジアムを満喫、退屈したらクルマの中で寝る」方向にシフトしたのでした。だって田んぼの中を15分歩くのは退屈だし嫌だよ…しかし、そこには色々と驚く光景が広がっていたのです。


すでに入場ゲートには長蛇の列。いや、20,000人収容のスタジアムで平均観客数5,000人とかなんだからそんなに並ばなくても…でも、はやる気持ちが抑えられないんだろうなあ。JFL、開幕戦だもんなあ。ギャルサポも結構多くて、新しいユニフォームを見せ合いながら背番号を見て「きゃーーーーー、アベタクぅ★」などと盛り上がっていました。アベタクって誰…?(松本のDF。そういえば映画にも出てた)

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スタジアム目の前の芝生広場でボールを蹴るサポーターの子どもたち。日本アルプスの風景も相まって、何だかいい風景。見ているとけっこう大真面目に削っていたりして面白いんだけど、こぼれたボールを蹴り返してあげたオットに「ありがとうございます」とプレースタイルに反して(笑)すごく礼儀正しくて可愛かった。

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ワンちゃんもサポーター。可愛い! 

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スタジアムの脇にも芝生のグラウンドがあって、試合が始まっていた。「めっちゃ上手い!」と大声で驚くオットに、同じく松本山雅の試合を待ちがてら観戦しているらしい50〜60代のおじさんやおばさんが「これはね、北信越2部リーグ。赤は地元のアンテロープ塩尻で…」と解説してくれた。ゴールキーパー鹿島アントラーズのユース出身だったりと本当に本格的っぽくて、長野県ではないけど“6部まである市民リーグの3部”所属チームに参加していたことのあるオットは“市民リーグ”“県リーグ”“地域リーグ”と自分との間にある大きな壁におおいに打ちのめされていた。いや何もそんなに打ちのめされなくても…。

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近くに信州まつもと空港がある、というか空港の敷地内にサッカースタジアムがあるというか。ものすごく近くを飛行機が降りていく。FDAフジドリームエアラインズって初めて見た。

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と、意外にあっという間に時間は過ぎていきました。うーーーーーーーん、何かこの周辺環境を含めた雰囲気、10年くらい前にフランスの田舎で見たような光景だなあ。
日本のJリーグとはかなり違う感じの、のどかで素朴でディープな、フットボールのある風景。映画の『クラシコ』を見たときに抱いたイメージ通り、なんだか、本当にヨーロッパの田舎みたい…。


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ひそかに東日本大震災とは別口で震度6強地震に襲われていた長野県栄村のキノコを使ったキノコ汁の無料サービスや、最近、全国区のワイドショーやニュースにちょこちょこ出てきてものすごい被爆悲観論を述べては、毎回CMで遮られている松本市長(チェルノブイリで子供の奇形児を診察してきたお医者さんらしい)のスピーチ、秋田サポの「栄村」コールと松本サポの「ガンバレ東北」コール、選手入場後の震災への黙祷を経てついに始まる試合、松本山雅FCvsブラウブリッツ秋田
Youtubeや映画で見たとおりの風景だーーーーーー!!! 熱すぎる!

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もちろん松田直樹もスタメン。マリノスの試合で必ず見かけた“マツ・マツ・マツ”の横断幕も、松本のチームカラーに新調されて出ていました(ほか、代表時代からマリノス最終試合まで使われたと思われる「松田直樹」日の丸大旗もすごくいい場所にいた)。きっと横浜から来たんだろうなあ。ちなみに肝心のプレーは、後半、審判の判定に抗議し過ぎてイエローカードをもらったり、相手チームの若い子をドーンと突いたり…と、私たちの真後ろに座ってた、マリノスサポーターっぽいお兄さん二人組が笑いながら「マツー、おちつけー」とあたたかく励ます相変わらずっぷりでした。お元気そうでよかった。あと、他の選手に「●番チェックしろ」とか「お前右に寄せろー」とか大声で怒鳴りまくっていたけど、意外に的確にスペース埋めさせていたなあ…。少なくとも秋田は、真ん中からは全然攻めることができなくなっていた。崩されまくっていたサイドの対策が課題なんだろうなあ、っていうかいっそのこと3バックのほうがいいんじゃ。



そして肝心の試合ですが…負けました(涙)! 前半1点リードで折り返したのに逆転負け…ううっ、くやしい。
でも、それにしても楽しかったです。冷静に思い出せば、正直、松田を含めたJ1経験ありのベテランプレイヤーを除くプレイの精度の多くはJ1に比べてやっぱりキッチリ2枚落ちると思うし(うまいのに軽率、という選手が多いように感じた)、審判の判定も結構微妙だった(オフとかファウルの取り方が。あと抗議したら判定が覆ったりとか…)んだけど、何しろ陸上トラックのない球技専用競技場だから、見やすいし迫力がある。横浜・三ツ沢よりも多少ながら設備が新しいから快適だし。お天気もよくて、山が近くて空気もよかったし、何より老若男女、サッカーと地元が大好きそうな雰囲気がよくて、手作りな感じが楽しかった。それに地域リーグ2部なんてどんな風か知らなかったし!

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係の人が「来週もよろしくお願いしまーす」と言っていたけど、いやあ、本当、来たい…いややめておこう、何しろ次の試合はAC長野パルセイロというクラブとの“信州ダービー”なのだ。アマチュアリーグ時代からゲートごとホーム/アウェイで分けて暴動を阻止しているらしいし。既に今日も負けてすぐサポーター集団が「パルセイロだけには負けられない」とか歌ってたし。ブラジル駐在の手引き書にも、サンパウロでのサッカー観戦時にコリンチャンスパルメイラスのダービー(通称“デルビー・パウリスタ”)にヨソモノは行っちゃいけないって書いてあったし…。


ちなみに翌日、地元に強そうな新聞・信濃毎日新聞を買ってみたら、こんな感じだった。っていうか代表戦とか天皇賞、J1優勝or降格争い以外でこんなにサッカーが大きく取り扱われてる一般紙なんて見たことない…。しかも、長野も松本もプロ未満の3部リーグなのに…何だかこれも、日本とは思えない。

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さらに、松本市内を歩いていると、繁華街にもこんな旗が一杯出ていて、その盛り上がりぶりにビックリ。名古屋(J1優勝)よりよっぽどすごい! そうか「3部リーグなのに」じゃなくて「いくぜ! Jリーグ!!」なんだな、だからそれはそれですごいことなんだ。そう考えると出身地にも今住んでいるところにもアタリマエのように「J1クラブ」があるってものすごい事なんだな、と思う横浜在住の私(名古屋出身)とオット(大阪市出身だけどJ発足時からガンバ大阪を応援している)でした。

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【石碾き蕎麦 水舎】 一見ふつうの民家というか民宿に見える、「唐沢そば集落」奥のそば屋さん。アルウィンからは、車で10分強。通り過ぎちゃったかなあ、と集落の途中で不安になるけど大丈夫、たぶん合ってます。某クチコミサイトでの高得点から行列もできるみたいだけど、日曜16:00過ぎは空いてた。集落のその他のそば屋さんの大半が閉まってた中、ここは営業していたので、そういう意味で貴重なお店です。いかにも手で切られた十割蕎麦を食べて、満足! 
http://suisya-ya.com/