昔の男

「世界中であった核実験の際に世界中に広がったのと同レベルの、ごく自然には影響ない量の」プルトニウム福島第1原発から漏れだしていることが確認された今日この頃(だったら今回無事な浜岡とか女川の土壌も同じように検査して比較してほしい)福島県知事ほか近隣県の首長のみなさんが福島第1原発の事故に伴う農産物の出荷制限と摂取制限基準の緩和」を訴えているそうです。人間、最後はエゴか。自分の県民の生活さえ守れればいいのか。その前に国が動くべきだ、なんてそもそも論はこの際しない。関東地方では民放・NHK問わず「福島のアンテナショップで積極的に農産物を求める東京都民の“あたたかい支援の輪”」の姿を何回も放送している(この部分、名古屋や大阪になると「震災・原発から逃れてきて新しい人生を始める被災者」が報道されているらしい)。これも規制緩和への刷り込みかな? とうがった見方をしてしまうのは私だけでしょうか。実際、シンガポールは福島どころか神奈川や埼玉の野菜ですら基準値越えで輸入を拒んでいるらしいよ? FTAとかTPPとかいろんなネタが眠っている中、一時的な措置なんて結局大損しか生まない、と思うのですが。


あとこれは私だけが気にしているのだけど、「中国産の各種有害物質多めかもしれない野菜」と「福島産・茨城産の原発放射能多めかもしれない野菜」(いずれも“ただちに健康に影響はないレベル”)のどちらがより、長期的に見て人間には害があるのでしょうか。デニーズで中国産野菜を摂取すべきか、スーパーで(この先出るであろう)福島産の野菜を買って自炊すべきか、大いに迷うのですが。


「もしかしたらこの停電と自粛ムード、『やっぱり原発は必要』とみんなに思わせるための罰ゲームとちゃうん?」と宇宙飛行士(仮名)。また恐ろしいことを…


そこで思い出すのが昔の男である。何かあったかもしれないしなかったかもしれない某電力会社の男(既にこの日記を始めていた時期なので少々気恥ずかしいけれど)をどうしても思い出さずにはいられない私。彼を含むメンバーとの初の合コンで「●●電力ってメンタルで自殺する社員が多いって聞くけどホントですか?」と聞いたのは友人aちゃんだけれど、レンアイ的に非常に重要な局面となりそうなデートで「ところで原発ってホントに安全なの?」と聞いた私も私だ(年を取ってから我々への合コンのオファーが減ったのはおそらくこの辺が大きいと思われる。このテの妙にグッサリ刺さるネタ、出どころが美しい女子大生ならオニーサンたちは大喜びだけど、お局世代オーエルに言われるとむかつく話に違いない)。


「うーん。少なくとも僕はずっと、安全だって教えられてきてるし、安全だって思ってるよ。事務系だから詳しいことはわからないけれどね」


…ああ、何というか、今にして思うとなんて日本の電力ホワイトカラー的。一見してクレバーで、ちょっと気取っていて、元サッカー日本代表の福西と佑ちゃんと眼鏡を外したヨン様を足して3で割ったような顔で、大手商社▲▲商事の内定を蹴って●●電力に行ったという彼は、そう言えば父上もノンキャリ高卒ながら同じ●●電力の社員だって言ってたなあ。そのあたり高度に、社員も洗脳しているんだろうなあ。


もしも願いがかなうなら、彼にもう一度会って昔の気分に浸りつつ過ちをおかすようなことは間違ってもせず、今起きているギョーカイの危機に関してじっくり聞き出したいところだ。でもきっと、「うーん。フクシマやモンジュのことはよくわからないけれど、少なくとも僕はハマオカは安全だって思ってるよ」って言うんだろうけれど(っていうかせっかく社名伏せ字にしたのに台無しだなあ)。