俺たちのオーレ! (うそ)

ついに自腹でJリーグを観に行ってきた。原因は横浜に引っ越してきてこのかた街中の至るところで見られる『この街には、横浜F・マリノスがある』という謎のポスターについにマインドコントロールされたこと、毎晩毎晩狂ったようにサッカーの試合をTVで見続けたせいで、どうにもサッカー観戦中毒(そして今、Jリーグの中継もほとんど地上波では見られなくなってしまった)になったこと等が挙げられる。
そこでさらにそんなベリーグッドタイミングで大阪出身で元サッカーサークル幹部だったオットが思わず心ときめく『横浜F・マリノスガンバ大阪@日産スタジアム(旧:横浜国際総合競技場)』なるカードが組まれてしまったので、これはもう行くしかないでしょう!!!

…ということでいざ出発と言うとき、目に付いたのは意味もなくガンバのエンブレム入り“チアホーン”を荷物に忍ばせる相方。
っていうかそれ、大昔に使用禁止になった一品じゃないのか。
「どうせブブゼラ持ってくる奴がおんねんからええやろー、ウケ狙いやー」と意気込んでいるけど、しかし私が買ってきたチケットはいちばんキャパがありそうで安いホーム自由席。何を隠そう私は高校サッカーをくまなく見ていた中学時代から、クラブチームは結構堂々とマリノスが好きなのだ(川口と松田直樹が入ったから)。いくら周囲の女友達が遠藤ブームに沸いているからと言って、むざむざビジター席なんか買うものですか。

そして、相方の通勤時の乗換駅が新横浜だったりするゆえに見慣れるだけは見慣れた日産スタジアムに到着。自分の出自上、微妙なアウェー感を抱きつつ乗り込んでみたところ、驚いたのは人の多さ。新横浜に近づくにつれ嫌な予感がしてたけど、実際めっちゃ入ってるやん。最初から開放してないビジターの上のほうと、あとは中途半端な場所の指定席を除いて2階席までほぼ満員。余裕かまして20分前に到着した我々は、席を見つけるのに非常に苦労してしまった。しかも、そのほとんどがちゃんとしたサポーターであるらしく、荷物を置いていた席を空けてくれた2階席の女子2人組も、しっかりユニフォームを着用し、タオルを掲げてマリノスの歌を歌っていた。っていうか今床に置いてくれたCherっぽいデザインのエコバッグも、何気に「Y・F・M」と書かれたマリノスの公式グッズらしい。バリバリのサポーターである。
っていうか、こんな人気あったのか、Jリーグって! 私はまたてっきり、今の職場だけかと思ったよ(近い席に浦和サポーターと鹿島サポーターがいて、日々小競り合い的雑談をしている)。しかも真面目なサポーターが大多数を占めているらしく、大阪弁でしかも何故かアルゼンチンのユニフォームを着用している相方は明らかに浮いている。周囲の非常に冷たい目にさすがに気づいたのか、ガンバのチアホーンが取り出されることはなかった。よかった。

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試合は点こそ入らないものの、押しつ押されつの好ゲームになった。途中、ガンバの遠藤がかなりいい位置でフリーキックを蹴る機会があったり、中澤がガッツの守備を見せたりとワールドカップブームに乗ってやってきた私のようなニワカでも楽しめるシーンが数多くあったし、黄金世代の元日本代表がまだまだ頑張っていて懐かしいやら何やらだし、渡邉とか名前は知っている20代前半のプレーヤーもしっかり活躍している(まあ、今日の渡邉はせっかくもらったPKを見事に外していたけど)。あ、ケガ明けの松田も出てきた。ロスタイムにほんのちょっとだったけど。
あと、なんかJリーグ創世記における有名助っ人外国人みたいな、明らかにボールタッチが華やかで、それゆえに浮いた動きをする人がいるな、と思ったら俊輔だった。その浮き方にちょっと驚いた。
恐らくは若いマリノスサポーターと思われる人のブログをいくつか見てみると、
「俊輔の空気を読まない動きがチームに混乱を招いている」という意見が多く出ているけど、それは違うと思う。マリノスは「不調で海外から出戻ってきた自チーム出身選手を受け入れた」のではなくて、「ピークは過ぎたものの、セリエAでそこそこの活躍、アイルランドリーグで年間MVPを取ってバロンドール候補になったこともあるプレーヤーを、外国人枠を使わずして獲得した」、と言うべきなんじゃないかなあ。もちろん、横浜に移り住んできていちばん驚いた「横浜における“俊輔”は名古屋における“真央ちゃん”なんだ!」という事実を考えると、横浜の人たちそれぞれが彼に対して複雑な思いがあるのは理解しているつもりだけど、少なくとも今のプレーヤーとしての彼はそんな感じ。

…と思ったら後半ロスタイム、俊輔のすごく変なパスを受けた17才の小野が、合わせてきた天野にキレイに送ってゴール!!! なんだか劇的にマリノスが勝ってしまって、ヤクルト応援団のそれよりも数段高級感のあるトリコロールカラーのパラソルが揺らめく中(勝って初めてみんな傘を広げるらしい)、我々は興奮した面持ちでスタジアムを後にした。熱狂的ガンバファンというよりもサッカー好きらしい相方も楽しめる試合展開だったようで、ぜひまた来よう、という話になった。

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しかしここで困るのはユニフォームである。郷に入れば郷に従え、すっかり気分はマリノスサポーターなんだけど、私は今ひとつ「NISSAN」と大きく入ったユニフォームを着用するのに抵抗があるのだ。ほら、新卒以来昨年まで長年勤務していた(そしてもちろん円満退社した)会社のロゴがよそのチームに入ってるし、日産はズバリその競合他社だし。うーん、これはもう、日本代表の10番でも着るしかない感じ?

「それにしても小競り合いを避けるためのガードが徹底的やったなあ。来週、代表ユニフォームの“22”(中沢・横浜M)と“4”(闘莉王・名古屋)のカップルで行ってみよか」とニヤニヤする相方。そう、来週は名古屋グランパス戦がここ横浜であるのだ。どうして君はそんなに波風を立てようとするんだ。…でも、本当にその場合、どういう扱いを受けるんでしょう。ちょっと謎。