或る明け方の出来事、4年後への希望

日本の南アW杯が終わった。ものすごく、本当に残念だけど、個人的にはそこまでの虚脱感や絶望感もない。ついでに言うと眠くもない。「ここまで来たら勝たせてやりたかった」というオカチャンの言うとおりだったし、でもきっとサッカーの神様は「まだ早い」と言っているんだな、という事なんだろうと思う。
それよりも、W杯直前の試合での負けっぷり(直前試合はもちろん、確か年が変わってからはバーレーンくらいにしか勝てていないはず)を見続けてきた私としては、カメルーン戦以降の快進撃ぶりに本当にときめいたし、何か奇跡に近いものを見ているような気がした、そんなこの2週間だった。
4年前と違って飛びぬけたアイドルやスタープレイヤーはいないし、オカチャンが苦し紛れに取って結果的に当たった采配は「南米の派手さや欧州の華麗さを諦めて、ただ数字と結果だけを追って一致団結する」というものだったけど(これはこれですごく日本人本来の民族性が出ていて悪くなかったけどね)、だからこそその中で本格的なスターのオーラを出し始めていく選手の姿は見ていてどきどきしたし、頼りない守備もだんだんそのギリギリ感に安定感すら出てきていたし、本当にすばらしかった。デンマーク戦、遠藤がフリーキックを決めた後で空へ投げキッスする光景を、私はきっとずっと忘れないだろう。

何よりよかったのは、世代交代が進み始めたこと。イングランドとの練習試合以降ほんとうに頑張ったキーパーの川島、日本のフリーキックの顔になれることを改めて示した本田(ぜんぜん違う位置からなのに、そこそこの距離でフリーキックを取られた時のパラグアイの焦りっぷりが印象的だった)は、今まで長らく日本の顔だったプレイヤーに替わる存在に、もうちゃんとなっている。黒子なんだけど泥臭くしがみついていった長友、「遠藤の執念を次回再びってことか…」というくらい不思議に出番のなかった森本あたりと合わせて、4年後もじゅうぶん行ける。“一緒に成長してきた感”を勝手に持っている同世代のアイドル達が一線を去っていく淋しさはあるけれど、次に希望が持てるのはそれに増して嬉しい。

「淋しいわ。でもきっと、あと1年もすればまた予選とかが始まって盛り上がるわよー」とは実家の母。   そうだね、きっとたぶん、そうなんだろうな。