ちょっと行ってきました〜マカオ旅行記(2)

さて、忘れた頃にマカオ旅行記です。何を隠そう実は今から、もぎ取った休暇でハネムーン!!! なのです。前日22時半まで仕事をしていたのに、朝早くから目が覚めるの何の。きっと、興奮しているのね。そこで、旅立つ前に、前の旅の記憶を。


香港郊外にある空港からは直接マカオ行きのフェリーが出ている。これは国際便乗り継ぎとほぼ同じ扱いなので、間違って香港に入国しちゃいけないんだそうだ。なぜそこまで丁寧に注意されるのかは帰りにわかったんだけど、香港の入国税(みたいなもの)とマカオのそれは別々で設定されているらしく、香港に入国していなかった場合は帰りに税関で、空港のバカ高いラーメンの一杯やそこいらは食べられる程度のお金を返してもらえるんですね。相変わらず、香港もマカオも中国本土とは一線を画した存在になっているみたい。ともあれ、適当に空港の乗り継ぎカウンターに似たフェリーカウンターでチケットを買って、フェリーに乗船。空港には上海万博のポスターがいっぱい貼られていて、ああ、もう愛知万博から5年も経つのか…とちょっとびっくりした。1985年に1999年がすごく未来に感じたのと同じくらい、2005年には2010年なんてはるか先の話だと思っていたのに。


着いたマカオのフェリーポート付近は、「Sands」と大きく書かれた派手なネオンが昼間からきらめき、北京オリンピックの水泳の会場「水立方」のミニチュア版みたいな「海立方」が青く浮かび上がるハデハデな、噂どおりの“東洋のラスベガス”になっていた。ベガスと違うのは海沿いなところで、だから、余計快楽的なムードが盛り上がって見える。
降りてみると一斉に人が寄ってくる。ホテルの客引きだらけ!!!…と思いきや、実は各々のホテルのシャトルバスの係員なのである。後からわかったのだけれど、マカオでは中規模以上のたいていのホテルにはカジノが併設されているので、別に泊まってる人じゃなくてもお金をたくさん落としてくれる可能性は十分…ということで、カジノが立派なホテルほど頻繁にフェリーポートからのシャトルバスを出している。中国本土とのボーダーに向かうバスにはもっとたくさんの人が並んでいる。相変わらず博打好きだなあ中華人民。私が今回泊まるホテルも、「凱旋門」と悪趣味な字で書かれたビラ(これが後ほど意外と役に立った。英語が喋れないタクシーの運ちゃんにこれを見せるとすぐにわかってくれるのだ)を配っていて、小さなトヨタ・コースターに案内してくれた。ラルク・ニューワールドで何で凱旋門になってしまうんだろう、arcって単に「門」って意味なのに。ホテルまではコースターで約10分、プーというドアの開閉音やら何やらがひどく懐かしい。何だか、前の会社みたいだ。ホテルそのものは背が高くて、まだ一部テナントが準備中なくらい新しいホテルで、悪趣味なパリ風。部屋は、名古屋の若い女の子が喜びそうなイマドキの結婚式場風で、そこまでゴテゴテはしていないんだけど、白っぽくてエセゴージャスでちょっとだけ嬉しい感じ。しかもウェルカムドリンクならぬ薬膳スープがセットされていて、それがものすごく美味しかった!!! 見たゲストの大半は中国本土の人か白人。カジノの面積は小さめなものの、日本語ディレクトリーもあったし、クラブフロアの人たちも皆親切だったし(しかもティータイム・カクテルタイムの食べ物も美味しい)、旅行英語さえ少しできれば滞在するには快適なホテルでした。

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ホテルの目の前にはWynn(増築中)とMGMグランドがあって、窓からは何だか異常な建物が見えた(「その1」の写真参照)。巨大で、明らかに重力に逆らっている感じ。実はそれ、昔来たときには唯一のカジノ・ホテルだった「ホテル・リスボア」新館なんだって!!! すっかりしょぼくれた感じの元祖の背後に厳然と、まるで「スター・ウォーズ・エピソード1」の趣で、重力に完璧に逆らってそびえ立つ異様な存在感に、唖然。ドバイの巨大ビルもこの異様さにはかなうまいよ。華やかで垢抜けたラスベガス資本の猛攻に負けるまいとする地元の執念を感じる建物である。

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カジノに興味のない私と母にとってのお楽しみは、買い物と観光。そんなわけで、まずは向かい側のWynnにあるゴージャスなショッピングモールへ。ヴィトンもグッチもディオールも揃っていて、中国富裕層の皆様が景気よく買い物をしていたけど、うーん、せいぜい日本の市価の2割引ってところかな。噴水ショーとか、そのままラスベガスっぽいホテルの無料アトラクションを少し楽しみつつ、Wynnからくさるほど出ているシャトルバスで再びフェリーポートへ行くことに。今度は旧市街の反対側にあるベネチアンに行くのだ。まるでディズニーランドみたいににぎわっていて、Wynnよりももう少し庶民的なお店でショッピングをし、フードコートで適当なものを食べて、記念写真。…うーん、写真を見る限り、ヴェネチアとまでは言わないけど、マカオではなくラスベガスに来たみたいだ。
「なんだかこうしているとmoeちゃんが結婚して離れて住んでるなんて嘘みたいね」という母に、なんだか一方的にホロリと来てしまう。今ではすっかり介護が生活のメインになっている彼女の方が、むしろ休みをまとめて取るのは難しい状況なのだ。

そういうわけで翌日は観光。世界遺産になったマカオには、実は古くてヨーロピアンな建物が狭い地域に固まっている。昔はファサードだけ焼け残った教会にしか連れて行ってくれなかったんだけどなあ。旧正月で、おしゃれでひなびた建物に派手な飾り付けがされていたのはちょっと残念だった。くるくる散歩する感じは、今度こそなんだかプラハとか、大きすぎないヨーロッパの古い町並みにいるような気分になって楽しい。

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…というわけで、意外に楽しい2泊3日でした。近いようで何気に移動だけで丸1日近く要してしまう、しかし盛りだくさんのマカオ。アタマの良さで資源のなさをカバーしようとするシンガポールもカジノに手を出すみたいだし、今後も内外の競争で盛り上がりそうです。直行便もあるみたいなので、またふらりと出かけてみたいなー。