サンキュー吉祥寺

moeringal2010-01-25

学生時代、正確には3年10ヶ月住んでいた吉祥寺へ。たぶん5年ぶりくらい(友達のE子が卒業後もしばらく住んでいたから)。理由は、『吉祥寺伊勢丹がなくなるから』。

吉祥寺伊勢丹にはよく行った。空いていたからだ。東京の大学を受験した理由が「東京限定のライブ」と「伊勢丹新宿本店」だったはずなのに、バーゲンの初日と言えば吉祥寺伊勢丹だった。だって、ちゃんと試着ができるんだもん(ちなみに東急もパルコも吉祥寺はそうだった)。

吉祥寺は相変わらずだった。いったんは三越になっていたらしい近鉄ヨドバシカメラになったり、よく行っていた南口の薬局セガミがつぶれていたりというマイナーチェンジはあるものの、全体のトーンはまったく変わっていない。今では東海市にも大府市にもある「100円コミュニティバス」の元祖と言われる『ムーバス』も、相変わらず変な形で狭い道をコロコロ走っていた。

一方、驚くべきことに吉祥寺伊勢丹は賑わっていた。こんなにこのデパートに人がいるのを見るのは初めてで、変な感じ。完全に閉店バブルだよねー。こんな事になる前に皆もっと来いよ!…って私もだけど。でもよくよく見たら新館2Fにはペイトンプレイスとヴェールダンスミッシェルクランが同じレイアウトで並んでいて、この変わらなさゆえに潰れたんじゃないかというくらいやっぱり変わっていなかった。
ちなみに、相変わらず新館3FでICBと向かい合っているボディドレッシングは一足早く1月26日に閉めるとの事。きっとこの調子で順次店を閉めて、汎用バーゲン品売り場に順次姿を変えていくんだろうな、と思う。原形をとどめている間に来てよかったなあとしみじみしつつ、結構な投げ売りぶりだったので幾つか購入。私、ことOLファッションに関しては全然趣味が変わっていないんだなあ。

伊勢丹では、閉店セール用の特別紙袋を用意していた。『サンキュー吉祥寺』、と書かれたその下には、(たぶん井の頭公園の)桜とかスワンボートとかムーバスとか月窓寺とか肉のサトウとかラーメンとかレコードとかカフェとか駅の看板とかユザワヤ&ロンロンとか、そういう「吉祥寺らしい」アイコンがかわいらしく並んでいた。真ん中はもちろん吉祥寺伊勢丹だ。不覚にも、思わず涙がこぼれそうになった。そういえば、東急裏の大きなタワーレコードバナナリパブリックになっていたし、3月には駅ビル『ロンロン』も都心と同じ駅ビルブランド『アトレ』に名称変更するんだよなあ。変わらないようでいて、やっぱり街は変わっていく。私も変わっていく。

[:W200]

昔住んでいたアパートの1Fテナントにあるカフェ(店名は何度も変わっているけど、なぜか新築以来ずっとオープン風のカフェが入っている)でお茶を飲み、懐かしいエントランスを気が済むまで眺めてから、横浜の部屋に帰った。帰ってきた、と思えた自分に、ちょっとだけホッとした。

                        1. +

この先、淋しくなったら読みたい、記憶の中の吉祥寺が舞台になっている小説。しかし吉祥寺って、カフェ&喫茶店の多い街だったんですね。

吉祥寺幸荘物語

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ショートソング (集英社文庫)

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