実体験から救急医療を考えてみる

母が介護のために祖母宅に泊まっていた日曜の朝。詳しいことはまるっきり憶えていないのですが、気づいたら鍋に沸かした(コーヒーとカップスープ用)熱湯を思いっきり右手全体にこぼしていました。


ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃー!!!



幸い場所はキッチン。冷蔵庫の氷を全てボールにぶちまけて冷やすものの、そしてそれが今のところは凍傷みたいになってるものの、これからどんな風になるのか。ただれたり水ぶくれになったらどうするんだろう。怖い。見たくない…。

その後、とりあえずボールに氷水を浸しながら父の運転で近所の救急病院に行くも、血相を変えた私に対してただ「前の患者さんがいるのでお待ちください」とだけ言う当番の消化器外科医に言われてしまい、さらに不安と痛みが募る。っていうかその前の患者さん、一人しかいない上にそのご本人が涼しい顔で「やけどでしょう? 先に診ていただいたら」って言ってくれてるのにー!!! 慌ててる私のほうを早く診てー!あああ、どんどんやけどしたところが熱くなってきたし死ぬほどジンジン痛いし…。っていうかいつの間にやらこの病院、救急指定病院じゃなくて単なる休日も診療をしてくれる病院になっていたよ。

結局、つい最近歯を抜いた例の大病院まで行って診てもらったけど、何か一応大丈夫との事でした。「本当にひどいやけどって言うのは痛みは感じませんから。程度としては一番軽いですよ、大丈夫です」と視界の奥で真面目に“ER”みたいな風景が繰り広げられている中で言われてその場を後にしたんだけど、まあ恥ずかしいっちゃ恥ずかしいんですが、実際とりあえず3日間だけ軟膏をしっかり塗って包帯を巻いていたんですが、一番派手に熱湯がかかった右中指の横も皮が硬くなっているだけで痕はほとんどなく、痛みもなし。ああ、よかった。…などとすっかり冷静になった頭で前にも読んだことがある救命医療ネタの小説を読む。それによると救急は大病院の赤字部門らしいんだけど、そりゃそうだろうな。私も「とりあえずただれてないから、これで冷やしててね〜」なんて、待ち時間に肝が据わった感じの看護師さんから冷却剤みたいなの、一気に2個ももらったのに請求書には特にそれらしい記載はなかったもん。痛みにもお財布にもありがたかったけど。

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

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でも私、もし一人でいたらきっと救急車呼んでたかも…。利き手だし。熱かったし。なんかジュッって聞いたこともないような音がしたし。時間が経つごとに痛みがひどくなってたし…。

「いたずらに救急を受信するな」「救急車を呼ぶな」というポスターがベタベタ貼られた待合の向こう側の処置室で、ビビリが入っている若いドクター(たぶん研修医)に対して「さあ、行くんだ」とかカッコよく言ってる先輩ドクター…なんてまるっきりドラマみたいな光景を目にしてしまうと、確かに「命にかかわる案件以外は救急なんて来てほしくないんだろうな」という事は理解できる。でも、当の本人に取っては大事件なんですよね。とりあえず熱が出たにしても怪我ややけどにしても、患者個人としてはきわめてイレギュラーなわけだし。難しいなぁ。

しかしとりあえず、ああ、もう家事なんてしないよ、私。(…って、本当に結婚するんだろうか…?)