ポップ・スターの悲劇

「マイケルジャクソン死んじゃったねえ」「本当に死んじゃったのかな?」

…女子高生のように会社中の誰もが(いや、厳密には30代〜40代の人だけど)そんな会話をしていた金曜、そして移動中にラジオをつけたら延々と追悼特集をしていて、ついついノリノリで高速を飛ばしてしまった月曜でした。あと『スリラーのプロモーションビデオ完全版』は2回も見てしまった。面白かった。
マイケルについて顔とか性癖とか噂に関して色々言うのはやめておきます。私がマイケルが好きだったかどうかと言えば、まあ好きな方だったと思うし、色を白くしすぎて心臓に負担がかかっていたのかなあ、とか、いやあそもそも色素異常の病気だったんじゃないか、とか、医者の医療ミスだ、とかどれもこれもそれらしい色々な説がつきまとい続けるんだろうけど、それらはすべて、実はあまり関係がない。

ポップ・スターの死、という切り口で考えれば、50才という寿命は意外に標準的だったりして…なんて不謹慎なことを思う。特にそういう人だけをピックアップしてみれば、エルヴィス・プレスリーは享年42才、ジョン・レノンは40才(まあ彼は暗殺されたわけだけれど)。そうそう、この間何回忌だかの報道で見たけれど、美空ひばりは享年52才だったんだそうだ。かわいそうだな、と思うのは、(財政難に起因するものであれ何であれ)久しぶりに大規模なコンサートを開催しようとしていた矢先だったことだ。エルヴィスもひばりも、最近では忌野清志郎も、死を間際にした“復活コンサート”の映像は、やはりそれはそれは印象的なのだ。そのマイケル版! 否応なしに期待と想像力の高まるネタだと言える。
記者発表の映像を見たのはつい最近な気がするし、死の前日もリハーサルやら自主トレやらをしていたなどとという話を聞くと、さらに残念になる。もう1回、あの神が舞い降りたようなステップを披露してほしかったものだ。それとも、スマスマ乱入時には何やらおぼつかない足取りだったあの最近のマイケルが、観客が期待するような「バックダンサーよりも上手いダンス」をと再現しようとしたのはやはり相当無理があったんだろうか…。

ラジオからエンディングトラックとして流れてくる比較的しんみりした曲に合わせて、イマイチしんみりとはしない調子で「ユーアナーッタローン」とか「アベタプレースフォーユーアンフォーミー」とか、英語なんて一言も喋れなかった頃に、それでも知らない間に憶えていたそのままの歌詞をついつい熱唱する。何を隠そう、中学高校時代、何気なくベスト盤を聞いてみたら入っていた曲の9割は知らず知らずに知ってる曲だった…なんてアーティストは、私にとってビートルズマイケル・ジャクソンだけだった。そこまで思い入れがあったわけではないけれど、でもそれってすごい事だよな、と思う。知らない間に、私にとってやはりマイケルは最高のポップ・スターの一人だったようだ。神のご加護を(←マイケル風に)。