はしご占い、手酌占い

今週は久しぶりに占いに行って来た。相談内容は結婚そのものではなくて、「結婚した後の生活をどうすべきか」みたいな内容。さらに言えば、『自分はこうしたい』というビジョンを自分で持っており、既にそうした方向に向かう事のできる基盤を築き上げてもいる。
正直に言おう。霊視を含めて占い歴わずか2〜3回、イマイチ占いを信じ切れていなくて、「タダの身の上話の聞き手」「セラピー」くらいにしか考えていない私にとって、そんなの出来心で(と、いうか同じく占いを信じていない母が「占いとかでは何て言われるの〜」と言ったのでふと行こうと思い立った)足を運んだに過ぎない。適当にわかったような顔をして、あとは色々な人の悩み相談を数限りなく聞いている中での類例を取り上げつつ、人生相談に乗ってもらって、しかも強く肩を押してもらえればよかったのだ。占いとの関わり方としては、きわめて不純な部類と言える。
…ともあれ月曜、そんな感じで気楽に私は某常設占いコーナーに足を運んだ。担当してくれた占い師は、占い歴が長く雑誌連載も持っているという、少々クセのある顔つきの中年女性で、使用してくれた占い手法は四柱推命とタロットである。


ひどかった。


まず、「来年・再来年はもっと悪くなるから結婚するなら今年の方がまだマシ」はいいとしよう。どうせ誰でも知ってるようなメジャーな暦や占いで見ても、“本厄・後厄”で“停止・減退”なのだ。誰だって言える。問題はその次のタロットだった。

まずは『自分はこうしたい・こうなりたい』という方向に舵を取った場合の未来。真ん中(正確には違う場所だったけど、わかりやすく言えばそういうポジション)に出たカードに対して、占い師は何も言及しない。他のカードをリーディングして、「あまり得るものは少ないかもしれないし、思ったよりいい事はないかも知れない」とだけ言った。一方、『現状維持』をイメージした方向性についても占ってもらったところ、「報われない。どれだけやっても報われない。あなた自身も消耗していくばかり」という所感。真ん中のカードは“吊るされた男”の正位置だった。
逆さ吊りの男はいかにも報われない感じだし、私の現状を考えると当たっていなくもない。…じゃあ、さっきのは?

最初の『自分はこうしたい』という未来の時、「報われない」とリードされたカードと同じ位置にあって、占い師が何も言わなかったカードは、騎兵隊のようなわかりにくい絵ではあったけれど書いてあった見出しは“DEATH”、つまり“死神”の正位置だったはずだ。つまり、“死神”の持つ意味の中で最大限マシな意味合いを持つ「進歩がない、停止」というのが、恐らく彼女の精一杯の好意的なリーディングだったのだろう。

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あまりにも気分が悪かったので、翌日である火曜(こういうところが私のいけないところなのだが)私はまたしても、別の同じような(つまり、最低限モノを売りつけられたりしないという評判を持っている)常設占いコーナーに向かった。その前の若い男性客が1時間以上も熱心に話を聞いていた、キャリアのありそうで化粧は濃いが人相の良い、私の母よりももう少し年配と思われる女性に占ってもらう事にした。メインは気学・易学系の模様である。とりあえずインスピレーション的にはひらめく雰囲気があった。


さらにひどかった。


新聞屋が年末の集金の際に毎年配ってくれる高島暦と類似した書式の書物には、ことごとく「凶」を示す符号が並んでいる。彼女のリーディングは、「きわめて他動的な年。加えて暗剣殺。自分が一切悪くはないのに、ことごとく裏切られる。もっと言えば、JRの尼崎の事故とか、飛行機事故に遭ってもおかしくはない運勢」。「入籍はできれば平成23年まで延ばした方がいいが、ダメならせめて来年にすべき。本当にあなたのことを思ってくれる彼なら応じてくれるはず」「転居は、あなたが思う時期にすると、今後5年間、全てが悪い方向に向かっていく」「7月は間違っても、美容院や医者に行くのであっても、北・南・東北には向かわない事。唯一西北が吉方」…等々。挙句の果てには、「あなたが私の娘だったら、足元にしがみついてでも止める」とまで言われた。
手相や人生相談的な部分では好意的な内容もあったような気がするが、“尼崎のJR事故”に“飛行機事故”というショッキングな例え話が並んだ後だっただけに、詳しく覚えていない。

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流石に気持ち悪くなった。良かれと思って考えていた人生プランをここまで滅茶苦茶に言われるとは…。入籍時期の妥協案が前者のかたが「今年」、後者のかたが「来年以降」で分かれていたのがせめてもの救いだろうか。


ええい、さらにもう1件だ…とも思った。しかし、月曜・火曜と会社帰りに占いに行ってはことごとく、眠れないくらい(本当に二晩連続で眠りが浅かった)不吉な結果を出されて、既に疲れ果てていたのも事実。そこで、ふと思いついて、不良社員だった時代には就業中頻繁に、気休め程度に眺めていたカバラ数秘術系の無料サイトを、水曜日、ほぼ1年ぶりに見てみることにした。



総合運「今年は大きなチャンスに恵まれそうです。ただ、そのチャンスは行動力と気持ちの強さを必要とするかもしれません。今年のチャンスは、人生を大きく転換させるくらいに大きなものかもしれません。ただ、その道は易しくはなく、おそらく大きな壁が存在するはずです。(中略)今年は、自ら掴んだ幸運や成功の端が、今後の人生に大きな転換に発展する可能性の高い年なだけに、意思を持って行動することはとても大切になります。困難や壁にぶつかっても、その先にある成功や栄光を思い、最後までに逃げ出さないこと。そうすれば、自ずと運気はmoeringalさんに傾いてくるはずです」。恋愛運は「今年は恋でも大きな変化がある年かもしれません。カップルの人は、結婚や婚約など二人の関係が未来に向けて前に進んでいくかもしれません。」そして金運・仕事運は「自らを飛躍させるチャンスが目の前に訪れそうです。いつその「チャンス」が来ても、全力を出せるように、成果を残せるように準備をしておくことも重要です。」。


…よし、これで行こう。よく考えれば今までの人生、『アンアン』巻末の星座占いと『めざましテレビ』の“今日の占いカウントダウン”に次いでよく見てきた占いだし。 『占いの不吉な結果』と言う大きな壁を乗り越えて行動するぜ!!! でも、死にたくないから7月はヨーロッパ(=西北)にでも逃亡しようかなあ。会社は自宅からほぼ真南だし、通勤時間を考えると寄り道して方角を変えられるような余裕もないし。

都合のいい事だけ都合よく解釈し実行する。占いの結果を持って占いの結果を打ち消す。恐らくはやはり、占い失格者の私である。