ダンボ耳本舗

何だかえらくバタバタしていて長らく日記を書いていませんでした。勤務時間は短いはずなんだけどなあ、おかしいなあ。文章って書かないとどんどん下手くそになっていくので不安なんですが、まあ、マイペースで行きます。この2週間と言えば新妻iwakoさんとの「コマダムな午後」なんかは書きたいネタだな…最近、あまりにも生活がしょぼくれてるからね。

私が普段乗っている名古屋市営地下鉄の特に東山線という路線は数年前から女性専用車両なるものを導入していて、2009年1月現在、平日の始発〜午前9時、夕方5時〜9時の間は6両中の真ん中1両が男子禁制(子どもとハンディキャップのある人及びその付き添いは除く)となっています。特に男性の体臭がえらい事になる夏なんかは素敵な制度ですね。…というのはさておき、私の最寄り駅は女性専用車両が一番出口に近いので、せっかちな私は休日だろうが何だろうがこの車両を利用する事が多いです。…というわけである夜(というか今日)、20時58分栄発の地下鉄東山線に乗り込みました。当然周囲は女子高生から70台と思しき方まで、女性ばかりです。

と思ったら違いました。

どういうわけだか、車両のど真ん中の一番いいところに若い男が2人座っている。スリムながら身長は推定174センチ以上で肩幅もちゃんとあり、ピシッとネクタイを締め…と顔立ちこそ平凡ながらまあ、普通にコンパなんかで出てくれば好青年という評価を得るであろうルックスである。ちなみに足元を見るとちゃんとした革靴を履いていて、とりあえず骨折などをしている気配はない。
乗車率200%以上と思われる女性の山の中、ど真ん中をどっかりと占めている若い男2人(たぶん先輩と後輩)。栄に着いた時点から落ち着いて座っていたのだから、恐らくは明確に「女性専用」な時間帯からその車両にいたと思われる。うーん、一体どんな奴らなんだ。まさか「身体は男、心は女」ってわけじゃないだろうなあ。思わず、周囲の冷たい目を一切気にせずハッキリした発音で繰り広げられる彼らの会話に耳をすませてしまいました。

まず最初の話題は「バレンタイン」。とりあえず左手の薬指に光るものは見当たらない2人だけれど取り立ててガツガツしているわけでもなく、「早目にもらえた時はお客さんの所に持っていけるのでありがたい」「できればあんまり凝ったのじゃなくて1,500円くらいのが使い回ししやすい」とこれまた女性の顰蹙を買う事うけ合いの内容で、私だけではなく彼らの目の前に立ついいコートを着用したキャリア風50代女性などはつり革を両手で掴んで彼らを睨みつけていた(たぶん)。
続いて、「家財道具」。「自宅を出て一人暮らしをしたらTVから洗濯機まで一式25万くらいかかった」「TVは高いから俺はパソコンでTVもオーディオも兼ねてる」辺りまではまだ比較的女子度の高いネタであるものの、その次の「俺なんかカーテンの値段見てビックリして、一週間段ボールを窓に張って生活したよ」と自慢げに先輩が後輩に言ってるさまは、やはり女子とは言いかねます。
そして最後の話題は「マンガ」。「俺なんか『あしたのジョー』全巻だけ持って引っ越したよ」という先輩(推定30才)はしかし、最近はコンビニで買える古いマンガの廉価版に夢中らしい。『幽遊白書』など懐かしい名前を嬉しげに出す先輩に対し、自分のことを“自分”、語尾は全て“〜っスよ”“〜っスね”をつける体育会の後輩は全て絶妙な相槌を打っていく。
「でさあ、最近は『ジョジョの奇妙な冒険』読んでるんだよ」「いいっスね」「お、お前好き?読んでた?」「読んでましたよ」「読んでましたねえ」「おう、お前、何部が好き?」 それまでの軽快なやり取りが嘘のように、一瞬言葉につまる後輩。「えーっと、…3部」「わかってるなあ、お前!!! 承太郎だよな!!!」 その後はわりとスムーズに「ジョジョ」話が続いていったんだけど、たぶん後輩は確実にジョジョの事そこまで詳しくはないな。特にあの「間」は、すっごいスリリングで、聞いてるこっちもドキドキした。
…とどれを取っても、なるほど別の意味で「こりゃあ確かに、むしろ女には縁がなさすぎて女性専用車両に紛れ込んじゃったに違いないだろうよ」というむさくるしい会話群だったんだけど、最後の「何部が好き?」のくだりだけは、何となく底意地の悪い女子校とか女性の職場の先輩・後輩会話っぽくて個人的にはよかったです。ちなみに私は、日本の小さい街を舞台にした“4部”が好き。っていうかこんな熱心に電車で人の会話を盗み聞きしたのは初めてなんだけど!!! …恐るべし、女性専用列車の男性。