おしまいの日

会社関係者の中でも間違いなく最高峰に位置する愛すべき面白キャラ・ヒカルちゃん(次長課長の井上にV6岡田を少々ふりかけたような顔)の異動が決まった。

来年1月からの異動先は営業部、オフィスは名古屋駅前にどーんとそびえる高層ビルの高層階。入社以来7年、切望してきた営業部門への異動だ。実は車バカでもあるヒカルちゃんとしてはT市にある営業目線の商品企画関連部門の方がより行きたかった部門のような気もするけど、とりあえず、「工場のエリート」として純粋培養されてきたヒカルちゃんにとって、工場・生産部門からバリバリの販売店営業への異動なんて奇跡とも言える。

工場稼動最終日の挨拶は、ヒカルちゃんとしては奇跡的なまでにまっとうだった。どういうわけだか私生活がずぼらすぎて作業着がいつだって死ぬほど汚かった事、入社以来のキャリアを全て捨てるプレッシャー、育ててもらった工場への感謝、何より『私』という一人称。部長報告でも『オレ』と言ってしまう今までのヒカルちゃんからは信じられない事件だ。

私自身が逆ルートで営業から工場に異動したから知ってるけど、同じ会社でも、工場工務と販売店営業は雰囲気が違う。そもそも基本的な行動原理やロジックが違う。仕事で作る資料のレイアウトや文字の密度すら、同じ会社とは思えないくらい違う。実はものすごく緻密で泥臭い、工場としても特に工場らしい実務を得意とするヒカルちゃんがこれからどうなるのかは、誰にもわからない。でも多分、誰よりもどうなるかわからないのはヒカルちゃん自身に他ならない。だから頑張る…彼の妙に神妙な挨拶を聞く限り、きっと彼自身もそれをわかっているんだと思う。

まあ、東京をこよなく愛し、夜の街(ナイトクラビング系の渋谷や西麻布から、最近はキャバクラ・風俗系の錦や納屋橋にシフトしつつあるらしい。これから独身彼女なし30代は…笑)をこよなく愛し、田舎臭さや泥臭さを全て忌み嫌ってきた彼としては、これで今までの会社生活や会社関係の人間すべてから足を洗おうとしているのかもしれない。とりあえず、『モテる』を全ての行動原理とし、「工場勤務はモテない」とコンパで名刺を出すのを頑なに拒み、時には「東京の宣伝部」などとウソまでついていた彼としては、めでたく堂々と名刺を配りまくれるコンパ人生のスタートになるわけだし(いくら昨今の経費削減のご時世とは言え営業部門の新規配属者に名刺をケチる事はなかろう)、そもそも営業部門は女子天国なわけだし。また、そのうち会おうね。