大人の社会見学〜祭のあとの『名古屋・富裕層ビジネス』

moeringal2008-12-06

コツコツと登りつめても落ちるのは一瞬です。あんなに「元気な愛知」「名古屋ブーム」「最強トヨタ」と言われた日々もまるでウソのように「トヨタ・ショック」「ゴーストタウン田原」「有効求人倍率急降下」「定員オーバー直前の自立支援施設」等々、寒々しい単語が連日、全国ネットのTVまで賑わせています。

そんな中あえて、ほんの1年少々前に「リッチな名古屋」を対象として堂々の船出をした施設を訪れてみました。

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まずは『ミッドランドスクエア』へ。上層階を占めているあの会社の、所詮はサラリーマンに過ぎない人々が「ミッドランド価格」と嫌がっている富裕層施設です。カルティエの箱で形どられたクリスマスツリーを仰ぎながら、まずは低層階のショッピングエリアを散策してみました。

B1は、早くも撤退したオーガニックカフェの跡地にできた『サロン・ド・モンシュシュ』のものすごい行列が印象的でした。堂島ロールか。同じくいつ見ても驚くほど行列している高島屋の『クラブハリエ』と言い、洋菓子ビジネスは不況の影を微塵も感じさせません。

1Fはハイブランド。いつも通りと言えばいつも通りな感じにルイ・ヴィトンカルティエにはそれなりに人がいます。特にヴィトンは新聞などで売価を円高修正したのが話題になったばかりだっただけに多くの人がいました。

その他のお店にはそれほど人がいないのも、いつも通りです。トヨタ・レクサスのショールームには新型のRX(いわゆるハリアー)が堂々と飾られていましたが、これってなんか完全にアメ車のSUVだろー。アメリカがここまで急激にキてしまうとは思いもよらずに企画したことが見え見えです。

続いてブティックエリア。憧れつつ未だ一着も購入した事のないフォクシーは大盛況で、飛ぶように売れていました。私も思わず幾つか手には取ってみましたが、ニット6万円・スカート12万円・コート20万円…無理です。どれもこれも素敵なだけに、着たが最後、破産は目に見えています。

次に42Fへ。エレベーターに貼られていた安っぽくカラープリンターで刷ってラミネート加工だけした、激しく安っぽい「初日の出を見る企画」のポスターが印象的でした。先着者には「おしるこドリンク」も配られるとか。何だか富裕層ビルの企画と言うよりはまるでト●タの工場部門の総務が企画してるみたいで、ちょっと面白かったけど、
ビルのコンセプトとしてこれはアリなんだろうか…。

さて今回個人的にちょっと景気のいい話があったので、奮発して憧れだった『オーベルジュ・ド・リル』でランチを取る事にしていたのです。土曜日だったんだけど前日の予約で簡単に取れた辺り、不況の影を感じます。ただし不景気なオーラは微塵もなく、木製のシャンデリアと汚れ一つない白っぽい壁や明るいベージュのフローリングに興奮。

[:W200]

「水もお金を取る」「デザートも追加料金が掛かる」等々ろくな噂を聞かなかった同店ですが、実際はサービス料が13%かかるものの、そういう詐欺まがいの追加料金は取られませんでした。むしろ高いコースにはアペリティフとしてグラスワインや凝ったソフトドリンクまでついてくるし、平日なら税サ込3,000円台のランチもあるみたいだし、これは、既に相当やられた後なのかもしれません。でもこの店構えと眺めなら、少なくともランチは今なら十分適正かもしれないな。ハレの日用に。白っぽさが素敵なお店だから、むしろお昼のほうが爽やかでキレイだしね。
実際、店内は女性4人組が3組もいました。おひとりさまもいたけど。

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ミッドランドスクエアを堪能した後は、久屋大通に移動。勢いに乗ってミッドランドスクエアとほぼ同時期にオープンしたNYの高級宝飾店『ハリー・ウィンストン』にも突撃してみました。こちらも、かつては全員予約制をうたっていたと思うんだけど、あっさり入れた。入口で必ず住所と名前を書かされる辺り、入りづらいのは事実ですが。

いきなり薦められたのは、比較的一介のオーエルにも手が届きやすいと思われる価格帯のもの。商売っ気たっぷりです。見るからにお金なさそうだと見破られたのは少々ショックでしたが、逆に言えば、名古屋ではそのレベルのものしか売れないのかも知れません。わかんないけど。あと何だかんだ言ってティファニーとかカルティエとかもっと有名なところの方が人気があるのかもしれないしなあ。マリッジ・エンゲージ関連のお客様には素敵な写真立てをプレゼントしているなど、『リル』に続き、富裕層ビジネスらしからぬ企業努力を感じさせる一幕です。また、聞いてみると円高を還元しているそうで、だいたい1ヵ月半前に比べて25%以上安くなっているとのこと。ま、それでもたいがい何でも高いんだけど、それだけに230万円の指輪が170万円とか、下げ幅もビッグみたい。

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…さて、普段、敷居が高すぎて足を踏み入れるのをはばかられた空間に思い切って足を踏み入れ、非常に興味深い半日でしたが、見えてきたことがあります。それは、「富裕層」ではなく「プチ富裕層」、もしくは「富裕層に憧れる」人たちこそが、今いちばん色々と楽しめるのではないかという事。高額なだけに、たぶん残業ゼロとかボーナスのカット幅より価格が下がっている、もしくは感覚的に「手の届く」ところまで値段が下がっているものは多いんですよね。「大奮発」で『リル』でランチをしたり『ヴィトン』や『ハリー・ウィンストン』で自分へのご褒美を買う場合は、かなり手の届く価格帯で自己満足に浸れるいいチャンスなのではないでしょうか。
あと、やっぱりトヨタ・ショックに負けない(たぶん医療関係か)層もそれなりに名古屋って多いんだろうなあとも思います。そうじゃなきゃあんなに『フォクシー』に客は入るまいよ。ああ、いいなあ…。