そのままの君でいて

「『独身』と言えば俺たち、『貴族』と言えば俺たちだよな!!!」とわけのわからない勢いだけはある会社の先輩2名(うち一名はバツイチ)&私のお稽古仲間カガッチという謎のメンバーでご飯。
約1年ぶりに会うピュアな独身・先輩K君は相変わらず何と言うか、激しくシュールだった。妙に女子受けするランチ処に詳しくなっているK君の様子に、すわついに本命彼女登場か!? …と色めき立つ中、「いやあ、男も30過ぎて独身ともなれば、週末にランチできる女友達くらいはいないとね」と至ってスカした台詞を吐くK君の最新のデートネタはシュールと言うか、もうどうしようもなく面白かった。

「とりあえず今池まで来てもらって僕の車で拾って、で僕はうなぎが食べたかったから知立のうなぎ屋さんに行って、でもってうなぎと言えば絶対ビールだからさ。もう実は最初から飲む気だったんだけど一応『飲んでいい?』って聞いて、で『いいよ』って言ってくれたからビール飲んで、でそれからポニョが見たいねって話になって阿久比のユナイテッドシネマまで行ったわけ。そしたら僕の車プジョーなんだけど、プジョーだからエアコン効かないんだよね。外は38度だけど中は43度。43度で、そんな中運転させて途中東浦のコンビニで休憩とかしてポニョを見に行ったんだけど、いやあもうこれは無理だね。43度だもん」
「ポニョは誰が見たかったの?」「あ、僕僕。で、帰りにはちゃんと6時間経ってたから僕が運転して帰って、でバイバイ。まー次はないなー。だって43度だったからね」
そうなのか? お相手が会社の後輩とかじゃない限り、逆にかなり気があるようにも見えるんだけど。だってそんな、プランニングと言うよりはひたすら自分の欲望(笑)を満たすだけみたいなデート、笑ってつきあってくれるだけで悪い子ではないし…と思った私とカガッチは、女子目線からちょっとフォローを試みる事にした。
「連絡してみればいいじゃん」「いやあできないよ、だって43度だったんだもん」「ちなみにそれって解散は何時頃だったの?」「18時半くらいかなー」「夜食べようって誘わなかったの?」「あー、だって僕、翌朝4時半起きでサッカーの予定あったしそりゃサッと別れたよ。だからまあ、無理だね。暑かったし」
…確かにそれはいろんな意味でダメかもしれない。そしてその理由としてひたすら「だって43度だったからね、暑すぎたよ」を繰り返すK君には、いや正直笑いっぱなしでした。シュールすぎる。

でも、「もうすごいんだよ。あのポニョの歌が最後の最後に流れるから、もう子どもたち皆大合唱。僕も一緒に歌ってたけどさ」と何度も繰り返しつつ、会合の間中ずっと『ポーニョ ポニョ ポニョ』と何度となく歌い始めていた(でもその部分しか歌えない)K君のゴキゲンな姿を見ていたら、うーーーーーーーーーーん、まあ一生このままでいて欲しい気もしてきた。実害はないしね。とりあえず、私も『崖の上のポニョ』を夏休み中に見に行こうっと。