Everybody has gone.

古い友人から「先週無事退職しました。結婚式の招待状を送りたいのだけど住所教えて。あと、GW中に1回会わない?実家に帰る途中で途中下車したいな」という内容のメールが入った。彼女が指定する日にちは予定があるどころか日本にもいない予定だったので丁重にお断りしながら、そう言えばこいつともなかなか滅多に会えなくなるんだなあと思う。GWが過ぎたら、彼女は夫となる人が既に転勤して生活している遠い土地に行ってしまうのだ。新幹線の乗り継ぎついでに、などという気軽な会い方はもうできないような、さらに言ってしまえば今までみたいにちょっとした長電話もできないような遠いところへ。

その後わずか30分後、他の、もっと古い友人から「式が○月×日に無事決まりました」メールが届いた。着実でゆっくりしたおつきあいを1年あまり続けていたところ、わずか1ヶ月で突然のプロポーズから年内挙式まで一気にバタバタと決まったらしい。彼女とは以前から突然誘い合って会ったりする気軽な関係だった上、偶然にも18時に社外で仕事が終わる日だったので、急遽お茶に誘う。彼女が旦那さんがいる身分になったらこんな事もできなくなるんだなあ、と漠然と思いながら。
9時頃には帰らなきゃ、という彼女の都合に合わせて帰宅してしばらく経ったら、メールが届いた。「お疲れ様〜。moeringalさんに呼び出されてお茶してきました。今からジムに行きます」というような内容。…うーん、さてはこれ、明らかに宛先間違ってるね? 突然誘った、じゃなくて呼び出してしまった事への罪悪感が募って、一瞬そのまま黙っていようか迷ったけど、よく考えたら彼に定刻(なのかどうかわからないけど)の連絡が入っていないとまずい事になるよなあ。思い直してすぐに「おう、送る相手間違えてんぞ(笑)」とメールを返してあげる。彼女からの返事はすぐに来た。
「あらまあ失礼しましたっ ごめんごめん間違えたっ 平日遊んでると何だかうるさいもんでね〜」
私の数少ない友人の中でも一、ニを争う礼儀正しい淑女な彼女の事、「呼び出されて(笑)久々に話せてよかったよ」という文章があとに続いていたけれど、そっかぁ。こんな事できるのも独身のうちだけだよなぁ、とは思っていたけど、実はそれすら間違ってたんだ。申し訳なかった。
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思い出したのは昔つきあっていた遠距離恋愛の彼だ。私が残業して地下鉄に乗っている間に、たまたま電話がつながらないだけでも「電話つながりませんよ〜」という連絡が、責めるようなニュアンスで入った。私はそれを束縛だ、と感じる一方、彼の事が本当に好きだったから、何も言い出せなかった。それでいて「縛られている自分が好き」「縛られている自分に納得」、というレベルには持っていけなかったのだから始末が悪い。気づいたら、ビクビクするあまり、女友達とご飯を食べて9時に帰宅する時にも、逆に残業だと嘘をつく羽目に陥っていた。電話が鳴らないと言われるのが怖くて、地下鉄ではなくわざわざバスを乗り継いで帰宅したりもしていた。結局お互いの不信感ばかりが募って、別れた時には精神的にボロボロになっていた。
友人と婚約者との関係は、それに似ているようで、きっとまったく違う。そこには、不信感ではなく信頼感があるように見える。もしかしたら、それが「恋愛」ではなく「結婚」、という事なのかもしれない。
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私は元来、(例えばとびきりヘビーな失恋をした後の現実逃避として瞬間最大風速的に盛り上がる時を除いて)おおむね結婚願望があるほうではない。とは言え非婚主義というわけではないので、「まあ、1回くらいは結婚もしたいし、するだろうなあ」という感覚だけは持っていると思う。ただし、そのターゲット年齢も何を考えていたのか幼少期から30代だった。「クリスマスケーキ」という言葉がまだ力を持っていた時代の話、お嫁に行くターゲット年齢は遅くても25〜26才としたものだったから、こうなる事は最初から予感していたとも言える。
それでも、いざとなるとものすごく不安になる。みんないってしまう、私の手が届かない、ちょっと不安な時に話す事もできないくらい離れたどこかへ。じゃあ、私はどうするのだろう。



【The CAFE/eat salon】 山手通りのおっされー、なカフェ。特に夜。おされってこういうことさ、と私は思います。雑誌もあって適度に喫茶店色もあり。駐車場はお店の前に2〜3台程度。ご飯はカレーとサンドイッチだけだけど、根菜カレー、美味しかったです。
http://www.thecafe.jp/