スウィーニー・トッドはブラック・ディズニー

さて話変わって今日は、お茶のお稽古の後でスウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師を観てきました。人造人間・海賊・ピエロみたいなチョコレート工場長等々、21世紀最大のコスプレ・スターであると思われるジョニー・デップの新作です。
…いやあ予想外に気持ち悪かった。
ネタバレして恐縮ですが、かなりスプラッタ度高し。R-15は伊達じゃないですよ! 同じ監督・主演・ミュージカル仕立ての『チャーリーとチョコレート工場』よりはるかに陰惨な映画でした。少なくともウンパルンパがキモ可愛く踊ってくれたりはしません。映像としては、白黒セピア調の古き良き荒れ果てたロンドンの街角は素敵ですし、ジョニー・デップヘレナ・ボナム・カーターの目の隈濃いめ陰惨メイクもゴシックかつ退廃的で美しく好みなのですが、それにしても出血量だけじゃなくて色々とかなりヤバい。かつて話題になった映画版『バトル・ロワイアル』など完全に超えています。観に行く方は、覚悟して行きましょう。覚悟さえすれば、少なくとも陰惨ミュージカル映画の金字塔『ダンサー・イン・ザ・ダーク』よりはごく平凡でキャッチーで美しいミュージカルナンバーがたっぷり聴ける(ジョニーデップってあんな歌上手いの?)ので、意外に平気かも知れません。子供も活躍するし、言うなればディス二ーのネガフィルム、ブラック・ディズニーって感じで。
うーん。しかし、それでも何でもあのブツ切りみたいなラストは救いがなさすぎるなぁ。個人的には船乗りの若者がロンドンから脱出しつつ冒頭の『ロンドンは世界一恐ろしい街』みたいな歌をリプライズして終わった方が、まとまりも救いもあっていいと思うんですけど。(観てない方にはわからない話でごめんなさい)