デッドストック2007 / 当世独身王子事情 (パート1)

イッセー(仮)の話をしよう。
イッセーことIくんは28才関西語圏出身名古屋大学卒。名前だけでなく顔までいしだ壱成を若干骨太にし、身長を173センチくらいにしたイマドキのまあ、いい男である。このルックスだけでも直球ど真ん中な女子は少なくないだろう。何が出世コースかよくわからないこの近隣の企業において、めずらしく明快に出世コースくさいキャリアを重ねている人材でもある。元彼・MなどはIくんの元大学クラスメイトながら憧れの人なんだそうだ(M曰く、自分が大学を卒業できたのはIくんのノートのお蔭との事)。そして独身彼女なし、決してゲイでもバイでもない。「そんないい男がまだ残ってるんだ!!!」とこの界隈より余程いい男が残っていそうな東京大手町の金融キャリアガール・E子の声も一瞬華やぐIくんだが、しかし彼、先日、同じような独身同期3名でダメ出し会を実施したとの事。いわんや、「生活が保障されないワーキングプア層ならともかく、この年で結婚する気配を見せない俺たちは何か間違っているんじゃなかろうか」会である。いやそんな事言ったら私なんてどうなるんだよ、と言ったら、「女の場合はそっくりそのまま『総合職オーエルならともかく〜』に変換されるのであんたは問題ない」との事。って事は私は経済力のある男子と結婚したらあかんのだろうか。慰められた気がしないなあ。
閑話休題。「自分が間違っているのかどうか」を考えて見たところ、幾つかのキーワードが出てきた。具体的には、
A“本が好きで音楽が好きでゲームが好き。一人でどれだけでも時間をつぶせる”
B“週に一日はダラダラと寝ていたい”
C“同性およびそれに準ずるの友達と過ごす時間もかけがえがない”。
これに、D“住んでいるところが不便で仕事も忙しい”という条件が重なるとどうなるか。ハイ、ズバリ『彼女が常に浮気を心配して束縛する』→『嫌気が差し別れたくなる』→『離れてくれずさらに執着される』→『やっとの思いで縁を切るも疲れ果てる』ですね。二週間に一回しか会おうとしない彼氏って、そりゃ心配だよなあ。普通の女子は。Iくん、女の子受けする要素だらけだし。ちなみに私も過去に、同じような感じで「俺は時間空けてるのに君はいつも挙動不審。いっしょにいる意味がわからなくなった」と捨てられた経験があるんですが、えーっと私も悪いことしてる気は何ひとつなかったんですが。っていうか家でダラダラしてただけなんですが。それか女の子とランチして遊んでるか。
「でもなー、そういう内向的な部分って変えようとしても変えられへんやんか!」「あーわかるわかる。私もそうだもん。化粧せずにダラーと、イメージで言えば足の辺が溶けて布団と同化したまま寝て過ごすみたいな」「溶けてって言うのはつまり『ターミネーター』みたいな感じやな」「そうそう、ああいうドローッとした感じ。とにかく化粧したくないわけよ」「っていうかいいよな、『全身を床と同化させる』感じって」
…こんなダメダメな会話で盛り上がる我々というか特に床と同化しっぱなしのIくんを助けて下さい。ちなみにこの話をすると「誰よりも、同じく隔週デートで良しとするあんたがお似合いでは」という輩もいますがそれは大違いです。同じ物はつまり、平行線でしかないのです。お互いを理解しあってるだけで距離が詰まる事はないし詰めようとも思わないわけです。
こうしてさらに内向的な一人の時間を楽しむための道具としてそれぞれ“アコギの練習”“ゲーム『龍が如く』”をリコメンドし合って別れる我々であった。
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今年の3月頃に書いて死蔵してたテキストです。ちなみにダメ出し会のメンバーの一人はその後交際3ヶ月で23才の女の子と婚約したとの事。さあどうする、イッセー。