SEE YOU 名古屋めし(番外編)

『独身最後の家族旅行』と銘した家族沖縄旅行帰りのE子が『カラオケを歌いに(笑)』名古屋にやってきた。何か食べたいものある? と聞くと、「名古屋メシ! 何ならいろんな名古屋メシが一堂に会するゼットン系の居酒屋でもいいよぉ」との事。ふーんゼットンねー、最近行ってないなぁ、そう言えば錦の入口に昔からある店が最近リニューアルしてたなぁ。しかしゼットンって名古屋めしメニューがそんなに多かったっけ?
…と気になってゼットンのホームページを見てみたんだけど、テレビ塔・徳川園・ランの館はそれぞれバリバリのフレンチだし、他もハワイ風とか韓国風とか、そもそもコンセプトが違うからそんなものが出てくるはずもないし、居酒屋系にしてもせいぜい名古屋コーチン三河地鶏を使ったメニューがあるくらい。割とよく行く名駅「猪口猪口」もまた然り。昔よく使った金山「ギンザ舌呑」に至っては、売りになってるメニューは『江戸蕎麦』だ。名古屋めしの陰も形もない。
どういうこっちゃ。そこで、ゼットンが東京に出してる居酒屋系店舗「ギンザ舌呑」「ZETTON EBISU」のメニューもチェックしてみた。真面目だなあ私。
そうしたらこれがすごかった。『味噌串カツ』『岩手地豚のどて煮』『味噌煮込みうどんチゲ』『うなぎの釜飯まぶし』『海老天ムス』『鉄板ナポリタン』『あんかけスパゲッティ』『台湾ラーメン』『赤だし』…何だこりゃ。文字通り、いわゆる“名古屋めし”のオンパレードじゃないかー。っていうか私は通算二十数年名古屋に住んでるけど、天むすと台湾ラーメンが並び立つ店なんて見たことないよー。…というわけで首都圏の皆様。いわゆる“名古屋めし”をちょっとずつ賞味したければ、名古屋ではなく銀座か恵比寿のゼットンに行って下さい。その方が間違いなく効率いい。唯一見当たらない手羽先も、かつて大手商社MやSの本社に勤めるイケメンリーマン達が2ヶ月待ちで予約を取っていたという「世界の山ちゃん」で補完すれば問題なし。多分そろそろブームも落ち着いてるでしょうし。
…というわけで早々とうなぎ屋に行った後は適度に飲める店で周囲を省みない近況報告ショー。「で、式場とかはもう目途つけてるの?」「相手は新横浜の駅近くの結婚式場でどう?って言ってるんだけど、式場ってなんか大げさでイヤでさ。そもそも私、まだ相手の親に一度も会ったことないし」「うーーーーーん、ってことはE子、まだあと2〜3回は『独身最後の家族旅行』へ行くことになるんじゃないの?」「多分ねー」…ふうん。「それよりも私、夏に合コンしてその後一回だけ二人で飲みに行った日系証券の男の子から突然『来年結婚します』ってメールが来て落ち込んでるんだけど、どういうつもりなのかしら!!!失礼しちゃうわ!っていうか彼女いるならあんな思わせぶりなこと言うな!」とE子は憤懣やるかたない様子だった。しかし特にE子の場合、自分もその後長年の彼氏からプロポーズされて婚約中なんだから立場はイーブンの筈なんだけど、何だかなあ。色々複雑だなあ。
そしてふと、ちょっとだけ淋しくなる。あと何回、彼女とこんな時間が過ごせるのだろう。



【うなぎ いば昇 本店】 伊勢の赤福・御福とは比べ物にならないくらいよくわからない来歴の持ち主なのが名古屋のひつまぶし。東京のメディアなんかでは『元祖』と紹介される“ひつまぶし”は「あつた蓬莱軒」が登録商標しているけど、そもそもは栄エリアを拠点とする「いば昇」が最初に考案したとも言われる(実際蓬莱軒のオフィシャルサイトを見ると、「看板料理」とは書いてあるけど「元祖」とは書いていない。一方いば昇では“櫃まぶし”と漢字表記。法の目をかいくぐってる感じがするのは私だけでしょうか)。その「いば昇」は栄に行ってみると錦3丁目と栄3丁目に二軒あって、「本店」を名乗っていない錦3丁目の方が有名。何のこっちゃ。…というわけで、初の「いば昇 本店」でした。錦の「いば昇」は日曜休みなんだよねー。錦ほど趣はないんだけど、古いけどきちんとしたお店でした。6時前に入ったから並ぶ事はなくスムーズだったし。あとここは、錦では一切受けてくれない予約が受けてもらえるっぽかったです。錦のいば昇と違ったのは、煎茶のヤカンも最初に出してくれるけど、メインの櫃まぶしが出てくるとき、お茶漬け用として出し汁もついてくるところ。どっちかと言うとそれって「蓬莱軒」みたいだなあと思ったのは私だけでしょうか。名古屋・東京双方の「ギンザ舌呑」のメニュー編成と言い、やっぱり昔も今も名古屋めしはあやし過ぎる。
http://www16.ocn.ne.jp/~ibasyou/