解けない愛のパズルを抱いて追悼・黒川紀章

moeringal2007-10-12

「じゃあさ、もし彼が急に転勤になってなかったら、彼はE子の大切さを思い出して連絡を取ってきたりプロポーズしてきたのかな。あと、彼の転勤先がロンドンやシンガポールじゃなかったら、 E子はそれだけ簡単に腑に落ちて受け入れたのかしら? 南アやインドならまだしも、名古屋とか大阪とか鹿児島だったら」
「……それは…なかったかも…」
「いいじゃないそれで? それを含めて、天の采配っていうやつよ」
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常駐先を早々と辞して(一応帰宅にかかる移動時間を加味して定時退社扱い)東京・六本木の国立新美術館へ。ギリギリ夜間開館も終了してしまった19時40分にガードマンの間をすり抜けてE子と合流、彼女が取ってくれていた館内のレストランBRASSERIE PAUL BOCUSE Le Museeで久々にマンウォッチングを楽しみつつ食べた後、そのまま交差点近くのカラオケ館に行った。っていうかカラオケって行かなくなったよねえ。逆にカラオケボックスなんて学生時代からの気の置けない友達としか、逆に行かないんじゃないかしら。隣の部屋の男性グループも今時のヒップポップやパンク→コブクロミスチル『雨のち晴れ』→某大学応援歌→TMネットワークGet Wild』で〆という選曲の流れはまさにうちら世代の大学時代の仲間チームとかなんだろうし。…しかし何だって男たちはあんなに感極まった様子で『Get Wild』だったんだろうか(しかもコーラスまで完璧)。六本木交差点のネオンを見ると気分がシティハンターになってしまうのかしら。どうでもいいけど熱唱すぎて音まる聞こえだよ(笑)
その後はE子宅徒歩圏内の中目黒まで戻ってさらに飲む。どっちかと言うと渋谷・原宿系オサレサブカル系の店構えなのに店の女の子は地方出身臭が抜けない地味OLそのものだったり、酒はいい酒置いてたり、ゲイカップルがしっとり飲んでたり音楽関係者臭い髭の40代終盤オヤジがふらりと入ってきたり、変な店だった。隣に座っていたヴィトンのスーツ&ネクタイにポケットチーフを刺した30代後半の眼鏡の男に話しかけられてちょっとだけ相手をしているうちにどういう訳だかヴーヴクリコを空けてもらう事に。もらった名刺には中目の隣駅にある有名な外資系証券会社の何やら偉そうな肩書きが大書されていて、「この2年は景気メチャメチャいいっすよー」と明るく叫んでいたから、まあ特に問題ないと思っておこう。ありがたく頂くだけ頂いて帰路に着いた。
東京には魑魅魍魎がいっぱいいる。


ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ】  E子が持ってたくしゃくしゃのフェルメール展チケットの半券で、来場者限定コースをオーダー。前菜兼魚料理のサーモンマリネ、メイン(牛頬肉の赤ワイン煮込み)、デザート+コーヒーにシャンパンを追加して7500円程度で済むのはまあまあなんじゃないかしら。嫌味がない味だし女性なら丁度いいボリュームだしサービスもいいし。椅子とかはモダンを志した弊害的に簡素なルックスだったけど座り心地は悪くないし、何より宙に浮いてるみたいな変なロケーションが楽しい。森の向こうに六本木ヒルズが見えたり、東京は緑が多いなーと改めて思う。そういえば偶然、新幹線の中のニューステロップで、この美術館を設計した黒川紀章が逝去した事を知った。最近まで楽しそうに選挙やったりお宅を公開していたのになあ…というわけで図らずも妙にタイムリーだった店チョイス。ありがとうE子。
http://www.nact.jp/restaurant/01.html
http://www.hiramatsu.co.jp/restaurants/paulbocuse-musee/index.html