彼女の遺言、生まれた頃の私、バリ

moeringal2007-10-01

世の中は故・ナンシー関が望んだ通りに動きつつある。
…というのは「大食い」とか「フードファイター」とかいうあの分野の話。夭折した消しゴム版画家兼コラムニスト・ナンシー関をこよなく愛する(未だに鬱傾向にコンディションが傾くと、浮上するために古い著作を読んだりします…)私であるが、ナンシーが繰り返し繰り返しテーマにし続けたのがテレ東「TVチャンピオン・大食い選手権」を頂点とする「大食い番組」だ。っていうか私自身、相当古い「大食い」ファンだったりする。カタバミ(交通事故で5年間生死の境をさ迷い、意識が回復したら満腹中枢が死んでいたと言っていた)とか伊藤織恵(学食クイーン)とかわんこ先生風間(ガリガリに痩せた医大生、「消化器科に進んで自分の体の秘密を解明したい」とか言ってた)などというスター達が活躍していた時代から憶えてるからなあ。新井・中嶋時代とか、皇帝岸・野獣藤田・赤阪さん達アダルトメンバーが頑張ってた時代よりももっと前だから、絶対15年は経ってると思う。実は、逆に私のナンシーファンは「大食い」に対するシンパシーから始まったのではないかと思えるほどだ。
そこで今回の「元祖!大食い王決定戦」である。生前、ナンシー関は定期的に「大食い」をそのコラムで扱いその中で様々な示唆をしていたんだけど、今回はそれらが見事に実現された内容になっていた。過剰な演出や無駄な豪華さを概ね排し、ついては「大食い」を心ゆくまで堪能できる構成で、力が入っていて、私はなんか嬉しかったです。何しろ競技メニューが「納豆ごはん」とかだもんねー。まさに人間の限界に挑戦って感じがするわ。あと唯一豪華だったのが海外ロケなんだけど、決勝「炎天下のバリ島で、熱いラーメン決戦」もこの上なくテレ東の大食い的だったからこれはこれでいい。テレ東大食いの決勝と言えばラーメン、おまけに日除けなしの海外ロケで却って過酷になっちゃってるっていう。他にもそれから解説者として赤阪さんまでバリロケに呼んでたり、もちろん司会は中村有志だったり、オールドファンの痒いところに手が届く配慮が効いていた。内容も、引退を表明していたジャイアント白田が優秀の美を飾ったり、アイドル・ギャル曽根が割と早い段階で敗退したり、ほぼニューフェイスの子連れ40代主婦が強烈な早食いでペースを乱しまくってレースを牽引したりと見応えありまくり。あー面白かった(ギャル曽根を無理矢理バリ行きまで残した制作側の意図は若干感じたけど、まあギャル曽根は色んな意味で近年最高の大食い功労者だから良しとしましょう)。 やっぱり、ありえない勢いでひたすら食べる事こそが大食いの醍醐味だよ。
そしてそんな今回の視聴率は19.8%。ギャル曽根敗退シーンの瞬間最高視聴率は28%超と、これはテレ東としては過去10年でほぼ最高に近いんだそうだ。TBSが仕掛けた空前のフードファイターブームとか、その後の中学生の事故とかにもめげず、未踏の荒地をひとり黙々と耕し続けてきた(byナンシー関)テレ東の「大食い」という種が、ようやく花開いたってところか。
ちなみに決勝のラスト、ジャイアント白田が発した『幽門開いた!!!行くぞ!』という勝利宣言は個人的に大ウケでした。実は私、生まれた時幽門狭窄症って病気で、母乳・ミルクとも飲んだ端から戻しちゃってたらしいんですよねー。生後1ヶ月で500グラム以上体重落として死にかけたって言う。点滴だけじゃまずいんで、スポイトで牛乳を与えたり、白田くんみたいに上下に揺すって無理矢理胃の中のミルクをその先へ落としこんだりして何とか回復していったんだそうです。しかし、だからこそ知ってるんだけど、幽門なんて普通の人が知ってるのかしら?胃の出口にあるらしいんだけど、やっぱり開くと猛烈な勢いで食べきれたり消化できたりするのかなあ。
写真は、夏バリに行った時泊まったホテル『パドマ・バリ』で撮った一枚。今回の「大食い」のロケで同じホテル使ってて、懐かしくなったので掲載します。番組ではいかにも高そうな言い方してたけど、そんなに高くないし、海も近いし、いい所でした。