懐かしい年への手紙

殆ど奇跡に近い偶然が重なって、ずいぶん懐かしい知人とご飯を食べることになった。昔お世話になった人で、最後に会ったのはいつか、実はよく憶えていない。年単位である事だけは事実だ。
話しているうちに、ものすごくいろいろな事を思い出した。その頃の辛かった事も楽しかった事も嫌だった事も欲望もワクワクもスリルも、何もかも。その場面にはその人がいた事もあるし、別にその人とは関係ない事が大半なんだけど、そんな事はどうでもいい。
何だか色々知っちゃったなあ、と思う。思い出せないくらいさまざまな人・モノ・事・感情がこの何年かで通り抜けていったんだなあ、と。ちょっとだけ驚く。『知らないよりは知っていた方が成長できる』と『知らなければ知らない方が幸福だ』という二つの相反する考え方があるとして、あの頃の自分は確かに前者の人だった。何にでも首を突っ込みたがって知りたがって。見たいもの欲しいもの知りたいもの感じたいものも数え切れないくらいあった。そういう事も、みんな一緒に思い出した。
今の自分はつくづく後者だなあ、と改めて感じる。そういう欲がまるでと言っていいくらいない。何事も起きなければ起きないだけうれしい。しあわせとも思えないくらい何事もないのが本当のしあわせだ、と思うし。
最後のコーヒーを飲みながら、唐突に「いやお前、成長したよな」と言われる。そうかな? 単にスレたって言いたいだけなんじゃない?


リストランテエノテカ】  『よし川エノテカ』とどっちが正式名称か不明。その名の通り、全国ネット番組でも度々でてくる名古屋の金ピカ女社長吉川氏の経営するレストラン群の一角を占めるイタリアン。ン十年前、うちの母が近所の松坂屋ストアの駐車場でこの社長に追突された事があるせいなのか(もちろん大事には至らなかったらしいけど)? 近場なのに親戚の会合で使われる事もなく、実はよし川初体験。8500円のコースを食べたんだけど、味はまあ、その価格帯としてはごく平凡かな(量は多い)。渡りガニのトマトパスタはまずまず美味しく、紫イモのパンは珍しいけど、デザートがイマイチ。 店構えはこの辺によくある古い民家をいち早くレストランにした感じで素朴な日本庭園もあるし、薄暗い照明も趣があるし、店員は何だか老執事チックな独特のオーラがあるし、空いてさえいれば雰囲気はある。この際社長も見たかったなあ、残念。
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