元キャリ女子、語る

30代子ナシ駐在員妻、という世界で最も非生産的な人種が3人集まった。そのうちの一人・ユリペさん(仮名)がこの度帰国されることになったからなのだが、今回のメンバーの共通点は、「ここに来るまでは東証一部上場企業で死ぬほど働いていた」ことである。ちなみにユリペさんは某グローバルメーカーで社内結婚しているため、会社の制度を使って帰国後は復職予定。


「でもさ、元通り仕事ができるかっていうと自信ないわけなのよ。家のローンもあるし、散々遊んじゃってお金も残っていないから、復職はするんだけど、現場感が…」アメリカの大学を卒業後、メーカーの海外営業部門で勤務していたというユリペさんは自信なさげだ。「確かに」大手調剤薬局で研究員をしていたという薬剤師のミナコさん(仮名)は激しく同意した。「気が強くてプライドが高い子ばっかりの中、ブランクを持って働くことそのものが果たしてできるのかという感じ」そうか、“マツキヨでレジ打ちするだけで時給2500円なんて、薬剤師はいいなあ”とか思っていたけれど、“プライドが高い子”の一人であった彼女にとって、それはプライドが許さないものであるらしい。「私なんかスッパリ辞めちゃったから戻れる場所があるというだけで羨ましいです。ただ、確かに毎日22時まで働きたいかと言われると確かに…」実はひさしぶりに22時まで働きたい気分になってきている自分も、とりあえず同調しておいた。それに確かに、こんな生活あと3年も続けたら、仕事そのもののパフォーマンスも自信なくなってくるよなあ。


昼間からチリのワインをがっつり空けながら出た結論としては、「しっかり働いて500〜600万円以上稼ぐか、もしくは配偶者控除ギリギリの103万だか何だかをそれなりに納得できる職場環境のパートで稼いで全額自分の好きに使うか、どちらかじゃないと心身ともに満たされることは難しい」というもの。「でもそれって、意外と難しいよねえ…」と微妙にテンションを下げつつ「今度は日本集合で3人で台湾に行こう」という駐在員妻というよりはいかにも“30代キャリア女子”的な逃避的結論で今回はお開きとなった。


ちなみにミナコさんはしきりに「何かさあ、この辺りの面子で何かやりたいよね。だって優秀じゃん皆」と言っていたけれど、残念ながらいいビジネスモデルを思いつかない我々。実際有名な駐妻さんが“海外の広い家から日本の狭い家に引っ越す”ノウハウを基にした“駐妻のみの整理収納コンサルティング会社”を興して大成功しているけれど、残念ながら我々はいわゆる駐在員妻のプロ(料理上手おもてなし上手テーブルコーディネート上手インテリア上手、というステキな奥様は、実際この街にもたくさんいらっしゃるのだ)でもない非常に中途半端な存在なので、“駐妻”をウリにすることそのものは難しいんだよね。

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