歌のヒットアルバム

めざましテレビのヘッドラインをボーッと見ていて思う。
千の風になって」80万枚突破かあ。ヒッキーの「Flavor of Love」も50万+ダウンロード200万とか言ってるし、アルバムもミスチルの新譜が100万超えたみたいだし、空前のCD不況とは言われてても、まっとうな援護射撃(視聴率のいいドラマとか紅白とか)を受けたまっとうな曲はちゃんと売れてるじゃん。逆に、今売れてるって言われてる曲やアーティストの多くは、何だかよくわからないし。自分が年とったって言われちゃそれまでだけど、そりゃ小手先のヒップホップとかディスコだけじゃ枚数伸びないよー。確かに、自分がカラオケで莫大な時間を費やしていた頃に比べれば市場が縮小してるのは事実なんだろうけどさ。でも、逆に20年前はミリオンなんて本当にバケモノみたいな曲やアルバムしか売れなかったわけだし、レコードとかCDって結構バカにならない金額だし(ちなみに私が高校生だった頃の「表向きの」小遣いは6,000円だった模様)、今くらいの方がむしろ適正なんじゃなかろうか。
…というわけで、物持ちよく家にある90年代世紀末CDバブルを象徴!って感じの「大台越え」アルバム、ユーミン『天国のドア』(90年/200万枚)・ドリカム『The Swinging Star』(92年/300万枚)・globe『globe』(96年/400万枚)を聴いてみた。改めて今聴いてみると、どれもオリジナルアルバムとしてトータルでバケモノみたいにバランスがいいのに驚く。1枚そのままやってライブが成立しちゃう感じって言えばわかりやすいのかな? ドリカム以外の2枚は中身より数の印象しか既に残ってないと思うんだけど、なかなかどうして。「シングルたくさん入れなきゃオリジナルアルバムが売れない」っていうその後の風潮のA級戦犯小室哲哉=globeですら何気に緩急つけてよく練って構成してるし、一方でユーミンはシングルカットゼロって(タイアップはそこそこあるとは言え)!!!にもかかわらずこの完成度の高い曲が立て続けにキレイに収まってる様と言ったら! 勢いとキャッチーだけじゃなくて職人の技巧を併せ持った、やっぱりバケモノな名盤なのよ、どれもこれも。
その次の大台越え・GLAYの500万枚はベスト盤で、以後は市場全体が(除くヒッキー。彼女は存在そのものが突然変異だし、アルバムには捨て曲も何気に存在する)ベストしか売れない時代に突入していくんだけど、それって俗に言うJ-POPそのものの体力=瞬発力と持久力の両方が欠乏してるってことじゃないのかなあ。どうかなあ。『天国のドア』の頃あこがれたバブルな大人の日常に程遠ければ『The Swinging Star』の安定したスローで幸せな生活にも届かず、『globe』が上手に描いた超不景気で何もかも閉塞しててトーキョーの若者だけがムリヤリ刹那的に騒いでた世紀末も既に随分遠い記憶になってしまったお姉さんとしては、まったく新しいパワーの登場を期待せずにはいられないんですけど、いかがでしょ?