「メッセージ」とリクナビな日々

なんか疲れてるし早く寝ようかな…と思っていたにもかかわらず、ついTVを見てしまいました。藤木直人&内山理名主演・テレビCMの日スペシャルドラマ「メッセージ」。かつて資生堂のCMを中心に製作してカンヌ国際広告賞を取る等の名を成した、でも若くして自殺したCMディレクターの回顧録。提供は資生堂一社。いやあ、資生堂を中心とした当時のCMがたんまり流れる上、通常のCMも資生堂のしか流れないもんだから、2時間まるごと新旧の資生堂CMを見つづけたような気分になってしまいましたよ。殆ど資生堂CMミュージアム状態。にもかかわらずつい最後まで見ちゃったけどさ。
ちなみにこのS生堂(今さらいきなりイニシャルトークかっ)、★年前の就職活動時に説明会だけ行った事があるんだけど、そのあまりの高飛車ぶりやる気なさぶりは特筆に価するものがあったので大いに印象に残っていたりする。延々と流していた「営業部門に配属された若手社員が地方の薬局回りをする」安っぽい映像、今時パワーポイントじゃなくてOHP使用…などなど。今も昔もオシャレな予算たっぷりって感じのCMとはえらい違いです。
とは言え社会人生活を何年かしていると、今思えばわかる点がなきにしもあらず。就職氷河期のピークと言われる時期、化粧品好きのギャルから堅調メーカー志望の男子まで、恐ろしいほどの希望者が殺到したと考えられる業界No.1メーカーS生堂。とは言え特に前者の女子軍団、コネで枠が埋まってた可能性も否定はできないけど、やっぱりイメージ先行で受けに行く女子も多いはず。でもS生堂はカテゴリとしては化学メーカーなのです。福利厚生はともかく、四季報掲載の平均年収も決して多くはありません(美容部員は子会社採用扱いなので、大卒ホワイトカラーとしては本当に少ないといってよさげ)。メーカーだから当然工場もあるし。
わかりやすい話、例えばマスコミ崩れギャル(女性ファッション誌でバイトとかしていた)だったmoeringalが大卒総合職でS生堂に入社したとしましょう。当然、『東京・銀座・S生堂』の本社を拠点に女子の三大憧れ職業“化粧品会社のプレス”になると思い込んでいたはずです。 にもかかわらず、そこでもらった辞令が“掛川工場・生産管理部”だったりしたら…愛知県本社の自動車メーカーで西三河の自動車工場の生産管理に配属されるのとは訳が違います。間違いなく凹むに違いない。下手すると辞表もんでしょう。
でも、逆に言えばそれこそがリーマン/宮仕えの落とし穴なわけです。S生堂の採用方針と人材育成方針までは知りませんが、私の掛川工場(実在。東海道新幹線から見えます)配属なんて、「ほら、moeringalさん名古屋出身だから、静岡も比較的ご実家と近いし…」などという心ある逃げ道まであるわけで、十分ありうる話です。あの「地方の薬局回り」のイメージは、まさにそこを点いたネタと言えます。人生そう甘くはありません。仮にも「総合職」の冠をつけるなら尚更、下積みも含めてそれなりの覚悟は必要というところでしょう。今日のドラマなんか見てると、フリーランスやクリエイティブ系の悩みには大変なものがあるようですが、お気楽そうな事務系サラリーマンだってそんなに楽でもない。お金貰うのは大変だってコトですね。
もっとも、その高飛車振りは今思い出してもちょっと引っかかります。就職希望者とはいえ二アリーイコールお客様と言える層だろうに。同じく高飛車オーラバリバリの説明会にげっそりしたのがルイ・VィトンジャパンとC部電力なんですが、まあそれだけ企業が自信過剰ってことなんだろうなあ。「それでも使うでしょ?」みたいな。 …確かにS生堂のファンデは今も昔も必需品だし、名古屋に住んでる限りC電力のお世話にはならざるを得ないけど、でも、Vィトンに関してはアレでちょっと熱が冷めた気がするよ。大学卒業してから1点しか買ってないもん。